リバー型哨戒艦

リバー級哨戒艦について

リバー級哨戒艦（River-class patrol vessel）は、イギリス海軍が運用する多用途の哨戒艦であり、海洋での警備活動や人員・物資の輸送等に対応する設計がなされています。また、同型艦はタイ海軍やブラジル海軍でも運用されており、その汎用性の高さが特徴とされています。

設計

この艦級は、アイランド級の後継艦として位置づけられ、主に水産資源の保護を目的とした艦隊の一翼を担っています。特に領海や排他的経済水域内の警備や救難活動を主な任務として設計されています。

艦体の設計にはモジュール化の考え方が取り入れられており、必要に応じて中間区画を挿入することで、艦体の長さを変更することが可能です。このため、実際には4番艦「クライド」が約1.75メートル延長されています。船型は長船首楼型を採用し、艦首部にはバルバス・バウ（逆バウ）が装備されています。

年間320日という高い出動率を想定しているため、居住環境も重視されており、士官と先任下士官には個室が提供され、他の下士官にも2人部屋が用意されています。このように、長期間の任務に耐えうる居住空間が確保されています。

艦には、ハルマティック・パシフィック22型複合艇が2隻搭載され、必要に応じて海兵隊員や他の部隊員を便乗させることもできます。特に「クライド」では、18人の海兵隊員に加え、さらに11名の便乗者に対応できる構造になっています。また、艦尾甲板は作業甲板として利用され、25トンのクレーンを設置することで、物資の輸送や海洋の汚染対処、消防活動などに必要な装備を運用できるようになっています。

さらに「クライド」は、マーリン艦載ヘリコプターの運用が可能なヘリコプター甲板としても設計されており、他の艦でも同様の改修が行われる可能性があります。

運用史

リバー級哨戒艦は2001年5月8日に初めて発注され、その後リース契約を結んだ民間企業によって保有されることになったため、イギリス海軍が艦をリースする形で運用がスタートしました。この艦は5年後のオプション付きでリースされ、最終的には2010年に購入が決定されました。

さらに、2005年に追加で発展型の「クライド」が発注され、装備されたヘリコプター甲板や艦体の延長が行われました。2013年には、「クライド」を基にした更なる発展型の建造計画が発表され、2014年にはBAEシステムズとの契約が結ばれました。これらの艦の建造は2014年から開始され、その後順次就役する予定となっています。

現在の運用状況

「テイマー」と「スペイ」は、2021年からインド太平洋地域に5年間の長期任務につき、その間に海上自衛隊の横須賀基地にも寄港しました。特に「スペイ」は2024年4月に日英部隊間協力円滑化協定に基づき、在日英国艦艇として初めて日本に寄港した実績があります。

その後も「スペイ」は、トラブルにより横須賀基地に再入港したものの、修理が施されて任務に復帰しました。こうした艦の運用は、国際的な協力や安全保障に寄与しており、その存在価値が高まっています。

まとめ

リバー級哨戒艦は、イギリス海軍にとって重要な艦艇であり、その設計や運用実績は海上における多様な任務に対応するために最適化されています。今後も国際的な協力を通じて、さらなる役割を担っていくことでしょう。

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