リフトバレー熱

リフトバレー熱とは

リフトバレー熱（Rift Valley fever）は、ブニヤウイルス科のフレボウイルス属に属するウイルスに感染することによって引き起こされる人獣共通感染症です。この病気の名前は、主に東アフリカの大地溝帯であるリフトバレーの地域に由来します。リフトバレー熱は、特に特定の動物と蚊の間での感染が広がりやすいことが特徴です。

疫学

リフトバレー熱は、主に東アフリカの大地溝帯に発生しており、数十年にわたり各地で小規模な流行が報告されています。ウイルス感染の主な宿主は、ウシ、ヒツジ、ヤギなどの家畜で、これらの動物は主にヤブカ属の蚊によって感染します。ヒトへの感染は、感染した蚊の刺咬や、感染した動物の血液や臓器との接触によって起こります。

現在の主な流行地域としては、サハラ砂漠以南のアフリカが挙げられます。1930年代にウイルスが最初に分離されて以来、約10年から15年の周期で流行が発生しており、最も大規模な流行は1977年から1978年にエジプトで発生しました。この際、18,000人が感染し、そのうち598人が亡くなりました。また、ヒト－ヒト感染は確認されていないため、感染の主な経路は動物から蚊、そして人間への感染となっています。

症状

リフトバレー熱に感染した場合、潜伏期間は通常2日から6日です。感染した人は、インフルエンザに似た症状が現れることが一般的で、通常は4日から7日で回復しますが、まれにウイルス性髄膜炎や脳炎を引き起こすこともあります。重症型のリフトバレー熱では出血熱のような症状が現れることがあり、一部の患者は網膜炎を併発することもあります。

動物においては、特に妊娠しているヒツジやヤギが重篤な状態に陥りやすく、流産のリスクが90%を超えることがあります。これらの動物は、発熱、膿様鼻汁、下痢を示すことが多く、病理学的には肝臓に壊死を伴います。

予防

リフトバレー熱の予防には、ヒツジに対する不活化ワクチン及び生ワクチンが実用化されています。特に、感染のリスクが高い職業に従事する人々は、予防策を講じることが重要です。

関連法規

リフトバレー熱は感染症法において第4類感染症として位置づけられており、症状のある患者や無症状の病原体保持者、また感染症による死亡者の死体については、法第12条第1項に基づく届出が義務付けられています。また、家畜伝染病予防法に基づき、ウシやヒツジ、ヤギ、シカが対象動物とされています。

まとめ

リフトバレー熱は、感染した動物から蚊を介してヒトに感染する病気であり、主に東アフリカで発生しています。ほとんどの感染者は軽症で回復しますが、特に妊娠している動物に深刻な影響を与える可能性があるため、早期の予防策が求められています。

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