リュシル・ランドン

リュシル・ランドン：118歳まで生きた修道女の生涯

リュシル・ランドン（Lucile Randon、1904年2月11日 - 2023年1月17日）は、フランスの修道女であり、驚異的な長寿を全うしたスーパーセンテナリアンです。2022年4月19日から2023年1月17日に亡くなるまで、存命人物の中で世界最高齢の人物として知られていました。また、1904年生まれの最後の生存者でもありました。晩年はフランス南部のトゥーロンで過ごしました。

彼女は「アンドレ修道女（スール・アンドレ, Sœur André）」としても知られており、フランスではジャンヌ・カルマンに次ぐ長寿記録保持者とされています。しかし、ジャンヌ・カルマンの記録には疑問の声も上がっており、リュシル・ランドンこそが、記録に疑いのないフランス最長寿者であると言えるでしょう。

生い立ちと信仰

1904年、フランス南部のガール県アレスで生まれたリュシルは、3人の兄弟と、幼くして亡くなった双子の姉妹とともに育ちました。彼女は、第一次世界大戦から帰還した兄弟たちとの再会を、人生で最も幸せな出来事として語っています。プロテスタントの家庭で育ちましたが、19歳の時に洗礼を受けてカトリックに改宗しました。

修道女としての人生

ガヴァネス（女家庭教師）として働いた後、1944年に修道女となりました。ヴィシーの病院で31年間勤務した後、オート＝サヴォワ県の高齢者施設で30年間を過ごし、その後、2009年にトゥーロンの施設に移りました。91歳の時に心臓発作を起こし、頸動脈の手術を受けることとなりました。

長寿の秘訣と晩年

116歳の誕生日には、毎朝チョコレートを1粒食べる習慣があると語りました。フォアグラ、ベイクド・アラスカ、ロブスターといった美食を好み、昼食時には毎日グラス1杯のワインをたしなんでいたそうです。2019年には、市の名誉市民に選ばれ、ローマ教皇フランシスコから手紙を受け取ったとのことです。当時、視力はほとんど失われており、耳も遠くなっていました。

2021年1月、入所中の施設で新型コロナウイルスのクラスターが発生した際、PCR検査で陽性反応が出たものの、無症状で回復しました。隔離生活については、「何も感じなかったし、よく眠れた」と語り、修道女として若い世代のために祈りを捧げていたそうです。また、この年齢になると死を恐れることはないが、孤独は辛かったとも述べています。

世界最高齢となった際には、フランスのテレビインタビューで、この認定を「悲しい栄誉」と表現し、「天国の方が良いと思うが、神はまだ私を迎えたいと思っていない」とコメントしました。一方で、家族に「甘やかされる」ことを喜んでいる様子も見られました。

死去

2023年1月17日午前2時頃、トゥーロンの高齢者施設で眠るように息を引き取りました。118歳で亡くなったランドンは、史上初めて118歳で亡くなった人物となりました。サラ・ナウスと田中カ子が119歳で亡くなったため、118歳で亡くなった人物としては最高齢です。

長寿記録

2017年10月19日：ホノリン・ロンデッロの死去により、113歳250日でフランス最高齢となる。
2022年4月19日：田中カ子の死去により、118歳67日で存命中の世界最高齢となる。118歳で世界最高齢になったのは史上初。
* 2023年1月17日：118歳340日で死去。マリア・ブラニャス・モレラが新たに存命の世界最高齢者となった。

リュシル・ランドンは、その長寿だけでなく、信仰深く、ユーモアを忘れずに人生を全うした人物として、多くの人々に記憶されるでしょう。

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