リヨセル

リヨセル（Lyocell）

リヨセルは再生セルロース繊維で、特に持続可能性と性能に優れています。この繊維は、セルロース自体を溶剤に溶かして得られるものであり、従来のアセテート繊維などが行う誘導体化のプロセスを経ることなく製造されます。1988年、イギリスのコートルズ社によって試験生産が始まり、その後「テンセル®（Tencel®）」という商品名で市場に投入されました。現在は、オーストリアのレンチング・ファイバーズ（Lenzing Fibers）が主に生産を担っています。

製法

リヨセルの原料は、一般的に木材から得たパルプであり、特にユーカリの木が多く使用されます。製法は、まずこのパルプをN-メチルモルホリン N-オキシド水溶液に溶解し、紡糸原液（ドープ）を作成します。その後、この原液を薄いN-メチルモルホリン N-オキシドの溶液中に押出し、繊維として成形されます。このプロセスは、従来のビスコース法とは対照的であり、二硫化炭素を使用せず、完全クローズドシステムを実現するため、環境への負荷が比較的少ないのが特徴です。

特徴

リヨセルの主な特長は、その強度と耐久性にあります。誘導体化を伴わないため、セルロース分子の重合度が維持され、強度が高いという利点があります。しかし、繊維を紡糸する際に分子が線状に並ぶため、フィブリル化、つまり繊維が裂ける現象が起こることがあります。この現象は、ストリングチーズのように繊維が断裂することを意味しており、使用時に注意が必要です。

また、リヨセルは全体的に粗剛な手触りがあり、染色性にも多少の課題があるため、通常そのままで使用することは少ないです。これらの欠点を解消するために用いられる処理方法として、繊維や編織布に「もみ処理」や「たたき処理」を施し、表面に微細なフィブリルを意図的に形成した後、セルラーゼと呼ばれる酵素を使用してそれらを除去する技術があります。場合によっては、さらなる特性向上のために、架橋処理が施されることもあります。

関連項目

リヨセルは、他の再生繊維と同様に環境に優しく、高機能な素材として高く評価されています。この繊維に関連する技術や素材には、ビスコース、モダール、レーヨンなどがあります。これらの技術は、 textiles industry内での持続可能性をさらに進展させるために使われています。

リヨセルの生産に関する詳細な情報は、Lenzing Fibersの公式サイトなども参照できます。

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