リリウオカラニ

リリウオカラニ - ハワイ王国最後の女王

リリウオカラニ（Lili‘uokalani）は1838年9月2日にホノルルで誕生しました。彼女は、ハワイ王国の第8代かつ最後の国王で、唯一の女王として知られています。1891年1月29日に即位し、1893年1月17日まで統治を行いました。彼女は、アメリカ人であるジョン・オウエン・ドミニスと1862年に結婚し、音楽や文学において多くの功績を残しました。その中でも特に有名な曲は『アロハ・オエ』で、多くの人々に愛されています。さらに、彼女は「女王の祈り」やハワイ王国の創世神話『クムリポ』の英訳なども手掛けています。

時代背景

ハワイ王国は、1795年にカメハメハ1世によって全島が統一され成立しました。この時期、ハワイは早くから欧米の影響を受け、1840年にはカメハメハ3世が憲法を制定し、近代的な立憲君主制が確立されました。一方、アメリカ合衆国は、米墨戦争と南北戦争を経て、帝国主義的な拡張政策を進めており、ハワイの戦略的重要性が増していました。

また、サトウキビ生産が盛んになり、「砂糖貴族」と呼ばれる白人経営者たちが勢力を拡大する中、ハワイでは王政を強化しようとする王政派と、王政の廃止を目指す共和制派の対立が深まっていました。

リリウオカラニの経歴

リリウオカラニはカラカウア家の子として誕生し、2歳の時に有力な首長に養子として迎えられました。ローヤル・スクールで英語や音楽を学び、好奇心旺盛な幼少期を過ごします。1860年、ジョン・オウエン・ドミニスと結婚し、王位継承に向けた道を歩んでいきました。

1873年にカメハメハ5世が死去し、カラカウアが王位を継承することになります。リリウオカラニは1877年に女性初の王位継承者となり、1887年には英国女王ヴィクトリアに謁見した際、共和制派によるクーデターが発生し、国王の権限が大幅に制限される新憲法が制定されました。

カラカウアの死後、リリウオカラニは女王として即位し、王政廃止に向けた対抗姿勢を強化します。新憲法の制定を求める動きが続く中、1893年1月17日、共和制派が米国の支援を受けて王政廃止を宣言し、臨時政府が樹立されました。この革命は、多くの国から承認されたが、日本はハワイ王国の独立を支持し、米国の行動に不快感を示しました。

リリウオカラニは反乱の首謀者として容疑をかけられ、逮捕・幽閉されました。彼女は強制的に王位の廃止に署名させられ、その後5,000ドルの罰金と重労働の判決を受けました。1898年、ハワイはアメリカに併合され、ハワイ準州となり、王政は完全に終焉を迎えました。

リリウオカラニの遺産

リリウオカラニは、1917年11月11日に79歳で死去しました。その後、彼女の影響力や音楽はハワイの文化に深く根付いており、ハワイ州が1959年にアメリカの州となった際には、多くの人々が女王の精神を受け継いでいます。彼女はハワイ人の心の中に生き続け、ハワイ文化のおいて重要な存在となっています。

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