リンジー伯爵 (イングランド貴族)

リンジー伯爵

リンジー伯爵は、イギリスの貴族、伯爵位であり、イングランド貴族です。1626年に第14代ウィロビー・ド・アーズビー男爵ロバート・バーティーが叙爵されたことに始まります。以降、バーティー家が保持しており、1938年以降はアビンドン伯爵と継承権者を一にしています。また、1625年から1779年にかけては式部卿職を世襲しました。

歴史

バーティー家の勃興

バーティー家の歴史は、リチャード・バーティー(1517?-1582) がウィロビー・ド・アーズビー男爵家出身のキャサリン・ウィロビー(1519-1580) と結婚したことに遡ります。キャサリンの死後、男爵位は夫妻の息子ペレグリン(1555-1601) が継承しました。

ペレグリンの子ロバート・バーティー (1582-1642) は海軍卿を務めた廷臣で、男爵位を継承後、1626年にリンジー伯爵に叙爵されました。彼は式部卿を世襲するオックスフォード伯爵ド・ヴィアー家の女系子孫であったため、第18代オックスフォード伯ヘンリー・ド・ヴィアーの死去に伴い、同職を世襲する権利を得ました。イングランド内戦では王党派に与し、1642年のエッジヒルの戦いで戦死。爵位は息子のモンタギュー(1608-1666) が相続しました。

2代伯モンタギューも父と同様に王党派として活動し、ニューベリーの戦いやネイズビーの戦いに参加しました。彼が後妻ブリジット・レイとの間にもうけた子ジェームズ(1653-1699) は、後にアビンドン伯爵に叙爵されています。

公爵家としてのバーティー家

2代伯の孫にあたる4代伯ロバート (1660-1723) はランカスター公領相を務め、アン女王崩御後にはジョージ1世がイギリスに到着するまで摂政官の一員に任ぜられました。彼は1706年にリンジー侯爵に叙爵され、1715年にはアンカスター=ケスティーヴン公爵に叙せられ、以降5代にわたって公爵家として存続しました。これらの爵位はグレートブリテン貴族爵位でした。

しかし、4代公ロバート (1756-1779) が嗣子なく亡くなると、ウィロビー・ド・アーズビー男爵位は妹プリシラ (1761-1828) とジョージアナ (1761-1838) の間で停止状態となりました（後に解除）。式部卿職は姉妹の子孫が交代で世襲する裁定が下りました。一方で、公爵位、侯爵位、伯爵位は叔父のブラウンロー (1729-1809) が相続しました。

5代公ブラウンローも男子なく亡くなると、アンカスター=ケスティーヴン公爵とリンジー侯爵は廃絶しましたが、リンジー伯爵位のみが遠縁のアルベマール・バーティー(1744–1818) に継承されました。

その後のバーティー家

9代伯アルベマールは襲爵前に庶民院議員を務め、1814年以降はブラックネス城代を務めました。9代伯から11代伯にかけての伯爵家長男は儀礼称号としてバーティー卿を用い、12代伯まではアイルランド貴族爵位のカレン子爵の潜在的な継承権者でした。

9代伯の後は長男のジョージ(1814-1877) が爵位を継承しました。10代伯ジョージは「飲んだくれか狂人のどちらか」と評された人物でしたが、子がいなかったため、弟のモンタギュー(1815–1899) が爵位を継承しました。

11代伯の子である12代伯モンタギュー(1861–1938) が1938年に男子なく亡くなると、2代伯の後妻の子孫であるアビンドン伯爵家当主モンタギュー・タウンリー=バーティー(1887–1963) が爵位を継承したため、以降の伯爵家当主はアビンドン伯爵を兼ねることになりました。

その後を継いだ14代伯リチャード(1931-) が、現在のリンジー伯爵およびアビンドン伯爵バーティー家の当主です。

伯爵位に対するモットーは『勇気は破城槌よりも強し(Virtus Ariete Fortior)』です。

現当主の保有爵位

現当主である第14代リンジー伯爵リチャード・ヘンリー・ルパート・バーティーは、以下の爵位を有しています。

第14代リンジー伯爵 (14th Earl of Lindsey)(1626年)
第9代アビンドン伯爵 (9th Earl of Abingdon)(1682年)
第13代ライコートのノリス男爵 (13th Baron Norreys/Norris, of Rycote)(1572年)

リンジー伯爵一覧

初代リンジー伯爵ロバート・バーティー (1582–1642)
第2代リンジー伯爵モンタギュー・バーティー (1608–1666)
第3代リンジー伯爵ロバート・バーティー (1630–1701)
第4代リンジー伯爵ロバート・バーティー (1660–1723) （1715年にアンカスター=ケスティーヴン公爵叙爵）
初代アンカスター=ケスティーヴン公爵ロバート・バーティー (1660–1723)
第2代アンカスター=ケスティーヴン公爵 / 第5代リンジー伯爵ペレグリン・バーティー (1686–1742)
第3代アンカスター=ケスティーヴン公爵 / 第6代リンジー伯爵ペレグリン・バーティー (1714–1778)
第4代アンカスター=ケスティーヴン公爵 / 第7代リンジー伯爵ロバート・バーティー (1756–1779)
第5代アンカスター=ケスティーヴン公爵 / 第8代リンジー伯爵ブラウンロー・バーティー (1729–1809) (1809年に公・侯爵位ともに廃絶)
第9代リンジー伯爵アルベマール・バーティー (1744–1818)
第10代リンジー伯爵ジョージ・オーガスタス・フレデリック・アルベマール・バーティー (1814–1877)
第11代リンジー伯爵モンタギュー・ペレグリン・バーティー (1815–1899)
第12代リンジー伯爵モンタギュー・ペレグリン・アルベマール・バーティー (1861–1938)
第13代リンジー伯爵 / 第8代アビンドン伯爵モンタギュー・ヘンリー・エドマンド・タウンリー=バーティー (1887–1963)
第14代リンジー伯爵 / 第9代アビンドン伯爵リチャード・ヘンリー・ルパート・バーティー (1931 - )

爵位の法定推定相続人は、現当主の息子であるノリス男爵(儀礼称号)ヘンリー・マーク・ウィロビー・バーティー (1958 - )。

爵位の法定推定相続人の法定推定相続人は、ノリス卿の息子であるウィロビー・ヘンリー・コンスタンティン・セントモール・バーティー (1996 - )閣下。

リンジー伯爵 (イングランド貴族)