リヴノ

リヴノ：ボスニア・ヘルツェゴビナの歴史と自然が織りなす都市

リヴノは、ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦第十県に位置する都市であり、同県の県都でもあります。クロアチアとの国境に近く、豊かな自然と多様な歴史が息づいています。

地勢

リヴノは、ボスニア・ヘルツェゴビナ西部に位置し、クロアチアと国境を接しています。周辺の自治体としては、トミスラヴグラード、グラモチ、クプレスなどがあります。特徴的なのは、カルスト地形が広がるリヴァニスコ・ポリェに位置していることです。この地域にはビストリツァ川が流れ、ディナル・アルプス山系の山々に囲まれています。

特に注目すべきは、ブシュコ湖を含むリヴァニスコ平原一帯です。河畔林、季節性の沼地や池、小川、カルスト泉、そしてシンクホールが点在し、バルカン半島最大規模の泥炭地が広がっています。この豊かな生態系は、2008年にラムサール条約登録地として国際的にも認められました。

歴史

リヴノ周辺地域には、紀元前2000年頃から人が居住していたとされています。古代ローマ時代以前には、イリュリア人の部族が住んでいました。7世紀頃になるとスラヴ人が流入し、イリュリア人はスラヴ文化に吸収され、独自の言語や習慣は失われていきました。その後、3世紀にわたりカトリック信仰が広まりました。

リヴノの成立は892年9月28日とされており、これはクロアチア人君主ムティミルが当時発行した文書に由来します。10世紀には、中世クロアチア王国のフレビアナ州の中心地として言及されています。1326年から1463年まではボスニア王国の一部であり、ある貴族がリヴノ、ドゥヴノ、クプレスをまとめてトロポリェと呼んでいました。

14世紀初頭にオスマン帝国が侵攻し、ボスニアはその後400年間もの間、その支配下に置かれました。19世紀終盤の1878年、リヴノはベルリン会議の結果、オーストリア＝ハンガリー帝国の支配下に入ります。

20世紀に入り、1918年にはスロベニア人・クロアチア人・セルビア人国の一部となり、1929年にはユーゴスラビア王国が成立し、9つの自治州に分割されました。リヴノはスプリトを主都とするプリモルスカ州に含まれ、政治的にはクロアチアとの繋がりが深かったと言えます。1939年には自治州の区域が見直され、クロアチア自治州に編入されました。

第二次世界大戦中（1941年～1945年）は、ナチスの傀儡政権であるクロアチア独立国の支配下に置かれました。この時期、ウスタシャ勢力によってリヴノ周辺の多くのセルビア人市民が虐殺されるという悲劇が起こりました。一方で、パルチザン運動も活発に行われ、ウスタシャへの報復として多くのクロアチア人市民も犠牲になりました。

第二次世界大戦後、ユーゴスラビア社会主義連邦共和国の一部であるボスニア・ヘルツェゴビナ社会主義共和国となり、連邦の崩壊と紛争を経て、現在のボスニア・ヘルツェゴビナに至ります。

人口動態

リヴノの人口構成は、歴史的な背景や社会情勢の変化により、大きく変動してきました。詳細な人口データについては、関連情報を参照してください。

リヴノは、その豊かな自然と複雑な歴史が織りなす魅力的な都市です。ボスニア・ヘルツェゴビナを訪れる際には、ぜひ足を運んでみてください。

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