リーディングロー

リーディングロー (Reading law)

リーディングローとは、主に英米法圏において大学のロースクールで公式な法学教育を受けることなく、法律事務所での実務経験を通じて法曹資格を得る手法を指します。この制度は、過去に法曹志望者が独自に法律を学び、経験を積んでいた伝統を反映しています。

米国におけるリーディングローの歴史

アメリカにおけるリーディングローの起源は、英領アメリカの時代に遡ります。1773年には初めての体系的な法学教育機関であるリッチフィールドロースクールが設立されるまで、正式な法学教育を受けることは難しい状況でした。アメリカ革命後には幾つかの大学で法学教授職が設けられましたが、これも一名のみの教授職で、従来の徒弟制に取って代わることはありませんでした。19世紀末までにいくつかのロースクールが登場しましたが、法曹志望者の多くは実務を重視し、経験豊富な法曹のもとで指導を受けながら独学で法律の知識を身につけていきました。

当時、法曹志望者はイギリスの著名な法学者が執筆した教科書を利用して独学を続けていました。この独習の慣行は、アメリカ合衆国第16代大統領であるエイブラハム・リンカーンが若者に語った格言にも表れています。

リーディングローは1890年代までにアメリカにおいて法曹になる主流の方法とされていました。しかし、1878年に設立されたアメリカ法曹協会の努力により、次第にロースクールを修了していない者は司法試験を受験できない州が増加していきます。1941年、最高裁判事に任命されたジェームズ・F・バーンズは、リーディングローで法曹資格を取得した最後の最高裁判事となりました。今日では、ほとんどの州ではロースクールで法務博士課程を修了しなければ司法試験を受ける資格がないという原則が確立されています。

それでも、2014年の時点ではカリフォルニア州、バーモント州、ワシントン州においては、リーディングローによって法曹資格を得ることが認められています。2013年には、全国で60名がこの方法で法曹資格を取得しています。

リーディングローで法曹資格を取得した著名な人物

リーディングローを通じて法曹資格を得た歴史的人物は多くいます。以下は、その一部をご紹介します。

• - アンドリュー・ジャクソン (1767–1845): frontier lawyerから第7代アメリカ合衆国大統領へ。
• - エイブラハム・リンカーン (1809–1865): prairie lawyer、そして第16代アメリカ合衆国大統領。
• - クラレンス・ダロウ (1857–1938): アメリカ合衆国自由権協会の主要メンバー。
• - カルビン・クーリッジ (1872–1933): 政治家として多くの役職を歴任し、最終的にはアメリカ合衆国の30代大統領に。
• - ロバート・ジャクソン (1892–1954): ロースクール未修了でありながら最高裁判事、さらにニュルンベルク裁判の主任検察官。
• - サム・アーヴィン (1896–1985): 民権の擁護者で米国上院議員。
• - ストロム・サーモンド (1902–2003): 南カロライナ州知事やアメリカ合衆国上院議員を務めた。

さらに、カナダでもこの手法により法曹資格を取得した初代首相ジョン・A・マクドナルド (1815–1891)、第5代首相ジョン・トンプソン (1845–1894)、第9および第10代首相ロバート・ボーデン (1854–1937) のような歴史的な人物が存在します。

リーディングローは、論理的思考力や法律の理解を深めるための重要な方法の一つとして、今なお多くの意義を持っています。

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