リーフ地方

リーフ地方は、モロッコ北部に位置する地域であり、その地形は山がちでありながらも、肥沃な谷が存在するという特徴を持っています。この地方は、西はタンジェとスパルテル岬、東はラス・ケブナダとムルヤ川、北は地中海、そして南はWergha川までの山岳地帯を指します。地理的には、南部スペインのBaetic山地からジブラルタル海峡を挟んで山地が連続しており、景観の連続性が見られます。ただし、リーフ山地はアトラス山脈には属していません。

リーフ地方の主要都市としては、タンジェ、テトゥアン、アル・ホセイマ、タザなどが挙げられます。これらの都市は、リーフ地方の文化、経済、そして歴史において重要な役割を果たしてきました。また、リーフ地方はモロッコ国内で最も降水量の多い地域の一つであり、その結果として緑豊かな景観が広がっています。この緑豊かな土地には、ベルベル人の村が点在し、伝統的な生活様式を今に伝えています。

歴史

リーフ地方には、有史以前からベルベル人が居住していたとされています。紀元前11世紀には、フェニキア人がこの地に到達し、交易を開始しました。彼らはテトゥアン、メリリャ、タンジェなどの都市を建設し、リーフ地方の都市化の基礎を築きました。その後、フェニキア人のうちカルタゴが台頭し、この地域を支配するようになります。第3次ポエニ戦争後、リーフはローマ共和国の領土となり、マウレタニア属州に組み込まれました。ローマ帝国時代に入ると、クラウディウス帝の時代にタンジェがMauretania Tingitanaの首都となり、リーフ地方はローマ帝国の重要な拠点となりました。

5世紀には、ヴァンダル王国がこの地域を占領し、ローマ帝国の支配は終わりを告げます。6世紀には、ヴァンダル王国を滅ぼしたビザンツ帝国の支配下に入りました。710年には、Salih I ibn Mansurがネコル王国を建国し、この地域で独立を果たします。彼は、この地域のベルベル人をイスラム教に改宗させ、リーフ地方におけるイスラム文化の基盤を築きました。15世紀には、対岸のスペインのアンダルシア地方から多くのムーア人が追放され、リーフ地方に定住しました。彼らは、アンダルシア音楽をはじめとする新しい文化をこの地にもたらし、リーフ地方の文化的多様性を豊かにしました。

一方で、1492年にアンダルシアのナスル朝を滅ぼしたスペインとポルトガルは、海を渡りこの地方にも侵攻しました。1415年にはポルトガルがセウタを、1490年にはスペインがメリリャを占領しました。その後、しばらく平和な時代が続きましたが、1859年にはテトゥアンでスペインとモロッコの衝突が発生し、モロッコが敗北しました。この出来事をきっかけに、この地方はスペインの支配下に入り、スペイン領モロッコが成立しました。しかし、これに反対するベルベル人は、3度にわたる反乱を起こしました。特に規模が大きかったのは1921年の第三次リーフ戦争であり、アブド・エル・クリムに率いられたベルベル人がアンワールの戦いでスペイン軍を破りました。これにより、リーフ共和国が建国されましたが、最終的にはスペインによって鎮圧され、アブド・エル・クリムはレユニオンへと流刑に処されました。

1956年、この地域は南のフランス領モロッコと共にモロッコとして独立を果たし、現在に至ります。リーフ地方は、その豊かな自然と多様な歴史を通じて、モロッコの文化的景観を豊かに彩っています。

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