リー・リッチモンド

リー・リッチモンド：完全試合のパイオニア

ジョン・リー・リッチモンド（1857年5月5日 - 1929年10月1日）は、アメリカ合衆国オハイオ州出身の元プロ野球選手。左投げの投手として、19世紀の野球界にその名を刻みました。特に、MLB史上初の完全試合を達成したことで、野球史に不滅の足跡を残しています。

大学球界からメジャーへ

ブラウン大学在学中にマイナーリーグでもプレーしていたリッチモンドは、得意のカーブを武器に、シカゴ・ホワイトストッキングス（現カブス）とのエキシビションゲームで好投。この活躍が認められ、1879年にボストン・レッドキャップス（現アトランタ・ブレーブス）に入団し、メジャーデビューを果たします。ボストンでは1試合のみの登板ながら、11奪三振で勝利投手となり、その才能の片鱗を見せつけました。

ウースターでの活躍と完全試合達成

1880年からはウースター・ルビーレッグス（現フィラデルフィア・フィリーズ）に移籍し、エースとして活躍。同年は66試合に登板し、32勝32敗、防御率2.15という驚異的な成績を記録しました。また、救援投手としても3セーブを挙げ、当時のリーグ最多セーブを記録しています。

そして、1880年6月12日。ウースターで行われたクリーブランド・ブルース戦で、リッチモンドはMLB史上初の完全試合を達成します。5つの三振を奪い、外野への飛球はわずか3つという完璧な内容でした。しかし、味方打線も3安打と援護に恵まれず、5回に相手のエラーで挙げた1点のみという苦しい試合展開でした。さらに、5日後にはモンテ・ウォードも完全試合を達成したため、「史上初」の栄誉は短いものに終わりました。

医師への道と晩年

1881年にも25勝を挙げたリッチモンドでしたが、1882年に腕を故障し、成績は大きく低下。14勝33敗と大きく負け越してしまいます。チームの経営破綻もあり、1883年にはプロビデンス・グレイズへ移籍しますが、登板は12試合にとどまりました。元々医師志望だったリッチモンドは、野球で学費を稼ぎながら医学の勉強を続けることを決意し、26歳という若さで一度現役を引退します。3年後の1886年にシンシナティから数試合に出場し現役復帰しますが、その後は医師としての道を歩み、晩年には大学教授を務めました。

1929年、リー・リッチモンドは静かに息を引き取りましたが、彼の名はMLB史上に残る偉大な投手として、永遠に語り継がれることでしょう。

記録

完全試合：1880年6月12日
最多セーブ投手：1回（1880年）
セーブ数リーグ最多：1880年
敗戦数リーグ最多：1882年

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