ルイ (単位)

絫（るい）とは

絫（るい）は、古代中国で使用されていた質量の単位です。具体的には、当時使われていた「銖（しゅ）」という単位の10分の1にあたります。銖は約0.59グラムとされているため、絫は約0.059グラムという非常に小さな質量を表す単位でした。

単位の定義

後漢の歴史書『漢書』の律暦志には、「権軽重者不失黍絫」という記述があり、注釈には「応劭曰く、十黍を絫と為し、十絫を一銖と為す」とあります。これは、キビ10粒分の質量を絫とし、その10倍を銖としたことを意味しています。この記述から、絫は非常に小さな質量を表す単位であり、穀物の質量を基準に定義されたことがわかります。

『漢書』の本文では銖より小さい単位は定義されていませんが、後の数学書である『孫子算経』では、「黍 - 絫 - 銖 - 両 - 斤 - 鈞 - 石」というように、質量単位の体系が示されています。この体系の中で、「絫」は実用的な目的というよりも、主に「銖」を定義するための名目的な単位として扱われていたと考えられます。このように穀物から質量の単位を導き出すという発想は、ヤード・ポンド法のグレーンにも見られるものです。

歴史的背景

唐代以降、質量の単位は十進法に基づいて体系化されたため、古い単位である銖や絫が実際に使われることはなくなりました。しかし、古代の質量の単位体系を理解する上で、「絫」は重要な役割を果たしています。

漢字について

『説文解字』では、「絫」と「纍」は別の漢字として区別されており、質量の単位としては「絫」が用いられます。『広韻』でも「絫」と「纍」は異なる漢字として扱われており、発音も異なります。ただし、「累」は「絫」の異体字とされています。しかし、一般的には「累」と「纍」はしばしば同一視されることがあります。質量の単位としては、古い「絫」の形で書かれることが多いです。

まとめ

絫は、古代中国で使用された非常に小さな質量の単位であり、銖の10分の1に相当します。穀物を基準に定められた単位で、実用的な目的というよりも、質量の単位体系を構築する上で重要な役割を果たしました。唐代以降は使われなくなりましたが、古代の度量衡を理解する上で欠かせない単位です。

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