ルイブールの戦い (1745年)

1745年のルイブールの戦い

1745年、ジョージ王戦争（オーストリア継承戦争の北米戦線）のさなか、イギリス領ニューイングランドの民兵が、ロワイヤル島（現在のケープ・ブレトン島）のフランス要塞ルイブールを包囲・攻略した戦いです。

歴史的背景

1739年に勃発したジェンキンスの耳の戦争が、ヨーロッパでオーストリア継承戦争に発展し、1744年にはイギリスとフランスが正式に交戦状態に入りました。フランスはまず、イギリスの漁業拠点であったカンゾを攻撃し、ノバスコシアにおけるイギリスの支配地域はアナポリスロイヤルのみとなりました。フランスはルイブール砦を拠点に、イギリスに割譲されたノバスコシアの奪還を狙っていました。一方、ニューイングランドにとって、ルイブールはフランスの私掠船や海軍艦隊の脅威であり、1744年と1745年にはアナポリスロイヤルが包囲される事態も発生していました。

ニューイングランドの準備

フランスの侵攻を恐れたマサチューセッツ総督ウィリアム・シャーリーは、アナポリスロイヤルの守備を強化するとともに、ルイブール攻撃の準備を開始しました。カンゾ襲撃の際にフランス軍の捕虜となり、ルイブールの脆弱性を知ったイギリス兵の情報が、遠征への機運を高めました。他の植民地からの支援も得て、ルイブール遠征が承認されました。

ルイブール側では、物資不足や兵士の待遇に対する不満が鬱積していました。1744年の支給物資が不足し、兵士への給与未払いが発生し、兵士たちの不満が募っていました。

遠征隊の出発

遠征の指揮官には、ウィリアム・ペッパーレルが選ばれました。ニューイングランド軍4000人は13隻の軍艦でルイブールを目指しました。イギリス海軍の艦隊も護衛に加わりました。ペッパーレルはカンゾに拠点を設け、ルイブール近辺の流氷が消えるのを待ってから、イギリス海軍の艦隊と合流し、ルイブールへ出発しました。

戦闘

1745年5月11日（ユリウス暦4月30日）、ニューイングランド軍を乗せた艦隊がルイブールに到着しました。ルイブールは、キングズ砦、クイーンズ砦、ドーファン砦など、複数の砲台で守られていましたが、高所からの砲撃には弱点がありました。ニューイングランド軍は上陸後、ウィリアム・ヴォーハン率いる部隊がロイヤル・バッテリーを占拠しました。また、フレッシュウォーターコーヴの大砲を移動させ、ルイブールに向けて砲撃を開始しました。フランス軍の救援に向かっていた軍艦ヴィジラントがイギリス軍に拿捕されるなど、フランスにとって不利な状況が続きました。ニューイングランド軍の大砲がルイブールの城塞に突破口を開き、港にイギリスの艦隊が押し寄せたため、デュシャンボンは降伏を申し出ました。

降伏後のルイブール

降伏により、駐屯隊は名誉降伏を許され、住民はフランスへ送還されました。ニューイングランド兵は、略奪と戦利品を期待していたため、この処置に不満を抱きました。ニューイングランド軍はルイブールに入り、約2000人が駐屯を余儀なくされました。しかし、厳しい気候と不衛生な環境から病気が蔓延し、多くの兵士が死亡しました。

ルイブールでの勝利はイギリス本国で歓迎され、ニューイングランド軍の実力が認められました。一方、フランスは衝撃を受け、1746年にルイブール奪還を試みましたが失敗しました。

1748年、アーヘンの和約によりルイブールがフランスに返還されると、ニューイングランドの行政官たちは憤慨しました。イギリスはルイブールとの均衡を図るため、ノバスコシアにハリファックスを建設しました。その後、フレンチ・インディアン戦争が勃発し、1758年にイギリス軍が再びルイブールを包囲・攻略し、城塞を破壊しました。この勝利が、翌年のケベック攻撃への道を開きました。

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