ルイ16世 (フランス王)

ルイ16世：フランス革命の嵐に消えた国王

ルイ16世（1754年 8月23日 - 1793年 1月21日）は、ブルボン朝第5代のフランス国王であり、その治世は激動の時代でした。彼の生涯は、絶対王政から立憲君主制への移行期における複雑な政治状況と、フランス革命という歴史的大事件に深く関わっています。

生涯

誕生と幼少期

1754年、ルイ16世はルイ・フェルディナン王太子とマリー＝ジョゼフ・ド・サクス（ポーランド王アウグスト3世の娘）の間に、三男として誕生しました。当初はベリー公の称号を与えられていました。兄たちの死によって王太子となり、1760年にはヴォギュヨン公爵が家庭教師に任命され、教育を受けました。

結婚

政略[[結婚]]の一環として、ルイ16世はオーストリアのマリア・テレジアの娘、マリー・アントワネットと結婚しました。この結婚は、長年敵対していたブルボン家とハプスブルク家の和解を象徴するものでした。1770年 5月16日、ヴェルサイユ宮殿で盛大な結婚式が執り行われました。

即位と初期の治世

1774年、ルイ15世の死去により、ルイ16世はフランス国王に即位しました。1775年にはランスのノートルダム大聖堂で戴冠式を行いました。即位直後から食糧危機による暴動に直面し、民衆の不満に応じる姿勢を示しました。しかし、夫妻にはなかなか子供ができず、性生活を疑われた時期もありました。1778年、ようやく長女マリー・テレーズが誕生し、その後も子供たちが続々と生まれました。

政治的な課題と改革への試み

ルイ16世は、先代の積極財政による負債を引き継ぎ、慢性的な財政難に苦しみました。アメリカ独立戦争への支援は、イギリスの勢力を削ぐ効果はあったものの、フランスの財政をさらに悪化させました。経済専門家を登用して改革を試みましたが、高等法院の抵抗や保守派貴族の反対により、抜本的な改革は実現しませんでした。拷問の廃止や人権思想に基づく改革を試みましたが、当時の状況では限界がありました。

アメリカ独立戦争における役割

アメリカ独立戦争において、ルイ16世はアメリカを支援し、イギリスの権益を奪うことに成功しました。しかし、この戦争はフランスの財政をさらに圧迫し、国内情勢の不安定化を招きました。

フランス革命

三部会と革命の勃発

貴族層に対抗するために招集した三部会は、思わぬ展開を見せ、平民層の政治参加を促し、1789年 7月14日のバスティーユ襲撃を契機にフランス革命が勃発しました。当初、ルイ16世は強硬な姿勢を示しましたが、ヴェルサイユ行進によってパリに連行され、事実上軟禁状態となりました。

ヴァレンヌ逃亡事件と王権停止

1791年、ルイ16世は家族とともにパリを脱出しようとしましたが、ヴァレンヌで発見され、捕らえられました。この事件は国王に対する国民の信頼を大きく損ないました。1792年、王権は停止され、国王一家はタンプル塔に幽閉されました。

国王裁判と処刑

幽閉されたルイ16世は「ルイ・カペー」と呼ばれ、厳しい生活を強いられました。国民公会で国王の処遇が議論され、最終的に1793年1月、死刑が決定されました。1月21日、ルイ16世は革命広場（現在のコンコルド広場）でギロチンによって処刑されました。この処刑は、フランス革命の大きな転換点となりました。

死後

遺体はマドレーヌ墓地に埋葬されましたが、王政復古後、ルイ18世によって遺体が掘り起こされ、サン＝ドニ大聖堂に改葬されました。

評価

ルイ16世は、しばしば「狩猟と錠前造りが趣味の無能な王」と評されますが、近年では、彼が財政改革や人権問題に真剣に取り組んだ側面も見直されています。現代の歴史家は、彼を変動期に指導力を発揮できなかった優柔不断な人物と評価する一方で、国民の幸福を願う良き支配者を目指した啓蒙専制君主であったとする見方も存在します。

遺言書

ルイ16世は処刑直前に遺言書を執筆しており、そこには彼の逃亡の理由や革命派への批判、そして国民への呼びかけが記されています。

ルイ16世が登場する作品

ルイ16世の生涯は、多くの映画、小説、漫画などの作品で描かれています。これらの作品を通じて、彼の人物像や時代背景に触れることができます。