ルキウス・ティベリウス

ルキウス・ティベリウス: アーサー王伝説に登場するローマ皇帝

ルキウス・ティベリウス（Lucius Tiberius）は、アーサー王伝説において重要な役割を果たす架空のローマ皇帝です。彼は最初にジェフリー・オブ・モンマスの著作「ブリタニア列王史」に登場します。この作品には、アーサー王とローマの力の対立を描いた興味深い物語が展開されていますが、実際にはルキウス・ティベリウスという名前のローマ皇帝は歴史上存在しません。ジェフリーは民間伝承や自身の創作からヒントを得て、このキャラクターを生み出したと考えられています。

歴史学者のジェフリー・アッシュは、ルキウスという名前が古代ローマの皇帝グリケリウス（Glycerius）に由来しているのではないかと推測しています。これは、古い文献でグリケリウスが誤って「Lucerius」と表記され、その後、ジェフリーによってさらに混同された結果であるとも言われています。また、ルキウス・ティベリウスは、ローマ帝国の西側の覇権を再確立しようとしたティベリウス2世をモデルにしている可能性も指摘されています。

その後、ルキウスはトマス・マロリーの「アーサー王の死」や、その他の英文学作品にも登場します。これらの物語においては、ルキウスはアーサー王に対抗するキャラクターとして描かれ、時には彼に敗北する運命を背負っています。たとえば、フランスで流布された物語群の中でも、ルキウスはアーサー王に敗れる運命にあります。

物語では、ルキウスはガリアを取り戻すために反逆者である護民官・フロロと戦っています。その戦いの最中、アーサー王も出陣しており、アーサーがガリアを征服すると彼の名声はローマにまで届くこととなります。このような状況の中で、ルキウスはアーサー王に貢物を要求し、自身を主君として認めるよう求めますが、アーサー王はその要求を退けます。

アーサー王の拒絶に対してルキウスは激怒し、大陸にいるアーサーの同盟国を攻撃します。この危機に際し、アーサー王と彼の騎士たちは一丸となってイギリス海峡を渡り、ルキウスとの戦いに挑みます。そして、アーサー王はルキウスを打ち負かし、彼の領土にイタリアを加えることになります。

このように、ルキウス・ティベリウスはアーサー王伝説において鍵となる存在であり、物語の中での彼の行動はアーサー王とその騎士たちの英雄譚と深く結びついています。彼のキャラクターを通じて、アーサー王伝説のロマンとローマの歴史的背景が交錯し、物語の奥深さが生まれているのです。

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