ルキフゲ・ロフォカレ

ルキフゲ・ロフォカレ（Lucifuge Rofocale）は、悪魔学において知られる悪魔の一柱です。主に18世紀から19世紀のフランスで広まったグリモワール（魔導書）である『大奥義書』や、その異本『赤い竜』などにその名が登場します。ラテン語風にルキフグス・ロフォカルスと呼ぶこともあり、短縮してルキフグス（Lucifugus）とも呼ばれます。

概要

『大奥義書』によれば、ルキフゲ・ロフォカレは地獄の支配者であるルシファー、ベルゼビュート、アスタロトに仕える6柱の上級精霊の一柱であり、地獄の首相、宰相の役割を担っています。配下にはバアル、アガレス、マルバスといった悪魔がいます。

カバラの概念におけるクリフォト（悪の側面）においては、ビナーに対応するサタリエルの長として、ルキフゲの名が挙げられています。

ルキフゲ・ロフォカレは、ルシファーの命によって世界中の富と宝物を管理しているとされています。『大奥義書』には、ルシファーに呼びかけ、ルキフゲ・ロフォカレを召喚し、命令することで富を得る方法が記されています。

名前の由来について、ルキフゲ・ロフォカレの前半部分「ルキフゲ」は、ラテン語の「Lux（光）」と「Fugio（逃げる）」という2つの単語から構成されており、「光を避ける者」という意味を持ちます。このことから、「光をもたらす者」であるルシファーとの関連性が示唆されています。また、後半部分「ロフォカレ」は、『ゴエティア』などの他のグリモワールに登場する悪魔フォカロル（Focalor）のアナグラムになっているという指摘もあります。

イエズス会の神学者マルティン・デル・リオの著作『魔術の研究』（Disquisitiones magicarum, 1599年）には、光を恐れて昼に出現しない悪魔たちを指してルキフゲス（Lucifuges）という言葉が用いられています。この鬼神論書は、『大奥義書』が流布する以前の17世紀に好評を博し、何度も版を重ねていました。

このように、ルキフゲ・ロフォカレは、様々な文献においてその名を見ることができ、悪魔学において重要な存在として認識されています。

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