ルキーノ・ヴィスコンティ (ミラノの僭主)

ルキーノ・ヴィスコンティ（Luchino Visconti, 1287年頃 - 1349年1月24日）は、14世紀前半にミラノを支配した僭主です。父はマッテーオ1世・ヴィスコンティ、母はボナコッサ・ボッリで、四男として生まれました。彼の生涯は、軍事的な成功と権力闘争、そして陰謀に満ちたものでした。

初期の軍事活動

ルキーノは若い頃から軍事的な才能を発揮し、1314年には兄弟のマルコと共にピエモンテで教皇派と戦いました。翌年にはトスカーナで皇帝派を支援し、モンテアペルティの戦いで負傷しました。その後も、1319年のモンカステッロの戦いでの勝利に貢献し、トリゼッレの戦いでも再び傷を負うなど、数々の戦いで武勲を上げました。

ミラノ僭主への道

1337年にはマスティーノ・デッラ・スカーラとの戦いでマントヴァ付近から退却しましたが、1339年にはヴィスコンティ軍の指揮官として、パラビアーゴで従兄弟のロドリジオ・ヴィスコンティを破りました。同年、甥のアッツォが後継者を残さずに死去したため、ルキーノはミラノの僭主となりました。彼は兄のジョヴァンニと共にミラノを統治し、その政治手腕を発揮しました。

支配と陰謀

ルキーノは、その支配において冷酷な一面を見せ、多くの貴族から憎まれました。フランチェスコ・プステルラによる反乱計画が発覚し、プステルラとその一味が処刑されるという事件も起こりました。ルキーノは、1342年にベッリンツォーナをルスカ家に、ロカルノ、アスティ、トルトーナ、アレッサンドリア、アルバ、ケラスコなどを支配下に置きました。これにより、アンジュー家やサヴォイア家との対立を深めました。

領土拡大と晩年

1344年には対ピサ戦争を開始し、1346年にはエステ家からパルマを譲り受けることで戦争を終結させました。ルキーノは、モンフェッラート侯国とゴンザーガ家との戦いも指揮しましたが、1349年に急死したため、最後まで指揮することはできませんでした。彼の死因については、妻のイザベッラ・フィエスキによる毒殺説も存在します。また、息子のルキーノ・ノヴェッロは彼の実子ではないとされ、地位を剥奪されました。

教会との関係

ルキーノの家族とミラノは、1321年から破門と政務停止の状態に置かれていましたが、1341年に教皇の許しを得ました。ヴィスコンティ家は、ルキーノの時代にその権力を大きく拡大させました。その過程で、一部の領主から財産を没収し、一財産を築きました。

参考文献

G. Biffi. Gloriosa nobilitas familiae Vicecomitum. 1671, Milano;
L. Beltrami. Il castello di Milano. 1894, Milano;
C. Cavallero. Racconto istorico della celebre vittoria attenuta da Luchino Visconti, principe di Milano, per la miracolosa apparizione di S. Ambrogio, in Parabiago. 1745, Milano.
G. Volpi. Dell'istoria dei Visconti. 1737, Napoli.

ルキーノ・ヴィスコンティは、その軍事的な才能と冷酷な支配によってミラノの勢力を拡大しましたが、その生涯は常に争いと陰謀に満ちていました。彼の死後も、ヴィスコンティ家の支配は続き、その影響は長く残りました。

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