ルサルカ (ドヴォルザーク)

オペラ『ルサルカ』について

アントニン・ドヴォルザークが作曲したオペラ『ルサルカ』（作品114）は、全3幕からなるチェコ語の作品です。1900年に作曲され、翌1901年にプラハで初演されました。台本はヤロスラフ・クヴァピルが手掛けました。

概要

『ルサルカ』は、水の精ルサルカが人間の王子に恋をし、人間になることを望む物語です。しかし、彼女の願いは悲劇的な結末を迎えます。このオペラは、ドヴォルザークの代表作の一つとして知られ、特に第1幕のアリア「月に寄せる歌」は非常に有名です。このアリアは、単独で演奏・録音されることが多く、ヴァイオリン用に編曲されたものが映画のサウンドトラックにも使用されています。

日本では1959年に長門美保歌劇団によって初演されました。

楽曲の校訂について

ドヴォルザークの没後に出版されたヴォーカルスコアには、音の誤りや指示の欠落が見られました。1959年に出版されたドヴォルザーク全集版も不十分な形態で伝わっていました。しかし、2023年12月には、ベーレンライター社から新校訂版が出版され、発音に対する助言も加えられました。2024年5月には、「月に寄せる歌」単独のスコアとヴォーカル・スコアも刊行されました。

楽器編成

このオペラは、以下の楽器編成で演奏されます。

ピッコロ
フルート2
オーボエ2
イングリッシュホルン
クラリネット2
バスクラリネット
ファゴット2
ホルン4
トランペット3
トロンボーン3
チューバ
ティンパニ
シンバル
大太鼓
トライアングル
タムタム
ハープ
オルガン
弦五部
バンダ（ホルン、ハーモニウム）

演奏時間

演奏時間はおよそ2時間25分です。

登場人物

ルサルカ：水の精（ソプラノ）
王子（テノール）
外国の王女（ソプラノ）
ワッサーマン：水の精（バス）
魔女（メゾソプラノ）
猟師（テノール）
料理人（ソプラノ）
3人の木の精霊（ソプラノ）
狩人（テノールもしくはバリトン）

あらすじ

第1幕

森の湖に住む水の精ルサルカは、人間の王子に恋をします。彼女は魔法使いイェジババに頼み、人間の姿に変えてもらいますが、その代償として人間の姿の間は言葉を話せません。また、恋人が裏切った時には、彼とともに水底に沈むという条件を課せられます。人間の姿になったルサルカを見た王子は、彼女を城に連れて帰り結婚します。

第2幕

結婚の祝宴で、口をきかないルサルカを冷たい女だと感じた王子は、祝宴に現れた外国の王女に心惹かれてしまいます。居場所を失ったルサルカが庭に出ると、水の精たちによって池の中に引き込まれます。王子は恐怖にかられ、王女に助けを求めますが、王女は逃げ去ります。

第3幕

森の湖に戻されたルサルカに、魔法使いは元の姿に戻るには裏切った男の血が必要だと告げ、ナイフを渡します。しかし、ルサルカは王子を殺すことができず、ナイフを捨ててしまいます。ルサルカを探して湖にやってきた王子は、妖精たちから自分の罪を告げられ、絶望します。彼はルサルカに抱擁と口づけを求め、ルサルカは拒みますが、王子は「この口づけこそ喜び、幸いのうちに私は死ぬ」と答えます。ルサルカは王子を受け入れ、口づけをすると、二人は暗い水底へと沈んでいきます。

関連作品

人魚姫: ハンス・クリスチャン・アンデルセンの童話。『ルサルカ』と同様に、人魚（水の精）が人間の男性に恋をする物語ですが、主人公の設定や結末には違いがあります。

外部リンク

* ルサルカの楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)

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