ルサール

ルサール: 世界的アルミニウム製造企業

ルサール（ロシア語: РУСАЛ）は、ロシアを拠点とする巨額のアルミニウム製造企業です。その正式名称はロシア・アルミニウム（Русский алюминий）であり、名実ともに世界的な生産者として位置づけられています。2010年度にはアルミニウム生産量が408万3000トンに達し、対前年の390万トンから増加を見せました。また、酸化アルミニウムの生産量も784万トンに上り、これらの数字は全世界でカナダのリオ・ティント・アルキャンに次ぐものであり、アメリカのアルコア社を抜いています。

本社はイギリス王室属領ジャージーにあり、これは税制上のメリットを求めたものとされています。社名に関しては日本語で「ルスアル」や「ルサル」と表記されることもありますが、原語に近いのは「ルサール」という名称です。

主な事業内容

ルサールの主な事業はアルミニウム圧延であり、その製品は日常生活と産業の両面に広く利用されています。ルサールは世界中に広がる事業所を持ち、5大陸19カ国に工場が存在します。特にロシア、ウクライナ、アルメニア、ギニア、ナイジェリア、ガイアナ、オーストラリア、イタリア、スウェーデンなどに主要な施設があります。これにより、さまざまな市場に柔軟に対応することが可能です。

歴史的背景

ルサールの創業は2000年の3月30日に遡ります。この企業は、プーチン政権と親密な関係にあるオレグ・デリパスカやアルミ精錬所、ボーキサイトを産出する鉱山を統合して設立されました。2006年には、アルミ製造でロシア第2位のスアール（СУАЛ）とスイスの商社グレンコアのアルミ部門を約300億ドルで買収し、世界最大のアルミニウムメーカーに成長しました。出資比率はルサールが64.5%、スアールが21.5%、グレンコアが14%という形です。

2010年には、ルサールはロシア企業として初めて香港市場に上場しました。上場時の公募価格は10.8香港ドルでした。この成功は、企業の国際的な認知度を高める重要なステップとなりました。

しかし、ルサールはのちに様々な国際的な問題にも直面します。2018年には、アメリカ政府からの経済制裁の対象となりましたが、これは2016年のアメリカ大統領選挙でのロシア干渉に起因しています。この制裁は翌2019年1月に解除されました。

さらに、2022年にはロシアがウクライナに侵攻した際、ルサールだけでなく多くのロシア企業が沈黙する中で、デリパスカ自身が侵略行為の早期終結を訴えるなどして注目を集めました。同社はブチャでの虐殺事件についても、徹底的な調査と実行犯に対する厳罰を求めており、国際社会における立ち位置を明確に示しています。

関係会社

ルサールは、ノリリスク・ニッケルという世界最大手のニッケル生産メーカーとも関係を持ち、2011年3月時点でノリリスク・ニッケルの株を25%保有しています。このように、ルサールは自社の事業だけでなく、広範な関連企業との協力を通じてその影響力を強めています。

このように、ルサールは単なるアルミニウム製造業者ではなく、国際的な経済関係や政治的トピックにおいても重要な役割を果たしている企業群といえます。

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