ルッターの戦い

ルッターの戦い（1626年）

ルッターの戦いは、1626年6月27日にドイツのルッターで行われた戦闘で、三十年戦争の中で特に重要な出来事の一つです。この戦闘は、プロテスタントのクリスチャン4世とカトリック同盟との間で繰り広げられ、大きな歴史的意義を持っています。

戦闘の背景

クリスチャン4世はデンマークの国王として、ルター派の信仰を背負いながら戦争への参加を決意しました。彼は当初、ドイツ中部のテューリンゲンを拠点とするエルンスト・フォン・マンスフェルトと連携し、共に南へ進軍しました。これは、一週間前にデッサウ橋の戦いで敗北したプロテスタント勢力を支援する意図がありました。クリスチャン4世の参戦により、戦争は神聖ローマ帝国内の争いから、外部の軍事勢力との激闘へと拡大しました。とはいえ、クリスチャン4世はドイツ系の血統を持っており、完全な外来勢力ではありませんでした。

戦闘の概要

ルッターの戦闘では、カトリック同盟の将軍であるティリー伯が、その巧妙な戦略でクリスチャン軍をルッターの地へ誘い込みました。帝国軍は序盤からデンマークの陣形を破ることに成功しましたが、デンマーク軍は騎兵による反攻で抵抗を試みます。しかし、徐々に戦況が不利に進展し、クリスチャン軍は大砲を失うと共に混乱が生じ、大きな打撃を受けることになりました。結果的に、デンマーク軍は約6000人の兵を死傷者として失い、2500人以上が捕虜となりました。

戦後の影響

ルッターの戦いの結果、北ドイツの諸侯はクリスチャン4世への支援を取りやめ、皇帝フェルディナント2世と同盟を結びました。この状況はクリスチャン4世にとって非常に厳しいもので、彼は敵対していたスウェーデン王グスタフ2世アドルフと1628年に同盟を結ばざるを得ませんでした。刹那的に両軍の共闘が実現し、皇帝軍の進撃を阻止することに成功しますが、デンマーク軍の後退により、1629年5月には「リューベックの和約」が結ばれました。

この戦いは、デンマークという北欧の大国が勢力を失っていく端緒ともなりました。ルッターの戦いは、単なる軍事的敗北に留まらず、地域の政治的地図をも大きく変える影響を与えたのです。クリスチャン4世の努力にもかかわらず、時代の流れには逆らえず、彼の国の衰退を助長する一因となったのでした。

参考文献

• - 百瀬宏、熊野聰、村井誠人 『北欧史 (世界各国史)』 山川出版社、1998年。

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