ルドルフ＝クリストフ・フォン・ゲルスドルフ

ルドルフ＝クリストフ・フォン・ゲルスドルフ：抵抗の将軍

ルドルフ＝クリストフ・フォン・ゲルスドルフ男爵（1905年3月27日 – 1980年3月27日）は、ドイツの軍人であり、最終階級はドイツ国防軍少将でした。彼は、アドルフ・ヒトラー暗殺計画に加わった人物として知られています。

生い立ちと初期の軍歴

ゲルスドルフは、シレジアのリューベン（現在のポーランド領ルビン）で、男爵エルンスト・フォン・ゲルスドルフの次男として生まれました。彼は伝統的な軍人の家系に育ち、1923年にヴァイマル共和国軍に入隊しました。1934年には、シレジアの財閥フォン・クラマスタ家の一族と結婚し、一女をもうけました。ブレスラウの近衛騎兵部隊で教育を受け、1926年に少尉、1938年に騎兵大尉に昇進。1938年から1939年までは、ベルリンの陸軍大学で参謀教育を受けました。

第二次世界大戦

陸軍大学を優秀な成績で卒業後、ゲルスドルフは原隊に復帰し、1939年9月のポーランド侵攻に従軍。その後、いとこのファビアン・フォン・シュラーブレンドルフの仲介で中央軍集団に転属となり、バルバロッサ作戦に参加しました。彼はアプヴェーア（国防軍諜報部）の連絡将校として参謀本部で偵察課長を務めましたが、これはヒトラー暗殺計画を企てるヘニング・フォン・トレスコウらの働きかけによるものでした。1943年4月、彼はカティンの森事件の犠牲者を発見するという出来事にも遭遇しています。

ヒトラー暗殺計画への参加

1943年3月13日、トレスコウによる飛行機爆弾を使ったヒトラー暗殺計画が失敗した後、ゲルスドルフは自爆による暗殺を決意しました。同年3月21日、ベルリンで開催されたソ連軍鹵獲兵器の展示会で、ゲルスドルフは解説役を務めることになりました。彼は、爆弾を隠し持ち、ヒトラー、ゲーリング、ヒムラーらをまとめて暗殺しようと試みました。しかし、ヒトラーは予想よりも早く会場を後にしたため、計画は失敗に終わりました。その後、彼は東部戦線に転属となります。

1944年、ゲルスドルフはクラウス・フォン・シュタウフェンベルクによる暗殺計画のために、爆弾と時限装置を保管しました。作戦は失敗しましたが、逮捕された同志たちが口を割らなかったため、彼は逮捕・処刑を免れ、数少ない生き残りとなりました。彼の暗殺計画は、戦後になって回想録で初めて明らかにされました。1944年にはフランスに転属となり、ファレーズ・ポケット突破作戦の立案により騎士鉄十字章を受章。1945年に少将に昇進しました。

戦後

終戦後、ゲルスドルフはアメリカ軍の捕虜となり、1947年に釈放されました。彼は西ドイツの連邦軍に復帰しようとしましたが、かつての暗殺計画への参加を理由に拒否されました。その後、彼はヨハネ騎士団の福祉活動に尽力し、その名誉団長を務めました。また、ヨハネ騎士団事故救済会の創設者にもなりました。晩年は乗馬事故で半身不随となりましたが、1979年には福祉活動での功績によりドイツ連邦共和国功労勲章大十字章を受章しました。彼はミュンヘンで亡くなり、彼の功績を称え、オイスキルヒェンの兵舎は「男爵ゲルスドルフ少将兵舎」と命名されました。

ルドルフ＝クリストフ・フォン・ゲルスドルフは、ナチス体制下で良心に従い、抵抗を続けた軍人でした。彼の行動は、勇気と倫理観を示すものとして、今日でも記憶されています。

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