ルナパーク (浅草)

浅草公園ルナパークの歴史

浅草公園ルナパークは、日本における初のルナパークとして位置づけられています。その開業日は1910年9月10日で、日本の東京、当時の浅草区六区にありました。この遊園地は、アメリカのニューヨークにあるコニーアイランドのルナパークを模して設計され、約1,200坪の広さを誇っていました。

このテーマパークは、映画会社吉沢商店の河浦謙一によって建設・運営されました。開業からわずか8ヶ月の営業期間にも関わらず、夜間も営業する「月の公園」として多くの人々に親しまれました。施設の中には、高さ15mの人工山、瀑布、天文館、そして人気のメリーゴーラウンドや汽車活動写真館、映画館（帝国館）、飲食店など多彩なアトラクションが揃っていました。

興味深い点は、1907年に上野公園で開催された「東京勧業博覧会」で評判となった観覧車が、ルナパークに移設されたことです。人々に夢と楽しみを提供すると同時に、この遊園地は当時のエンターテインメント業界における重要な施設となっていました。

しかし、運命は突然やってきました。1911年4月29日、施設は漏電を原因とする火災により全焼してしまいます。この不運な事故の背後には、同時期に河浦が所有していた大阪の映画館も不審火で焼失するというトラブルが続いていました。これらの火災は放火が原因とされ、河浦および吉沢商店は大きな損失を被りました。

これにより、映画業界はアメリカからの海外映画進出が加速し、厳しい競争にさらされていました。河浦は打撃を受け、吉沢商店は375,000ドルで梅屋庄吉に売却されることとなります。この売却により、河浦は新たなルナパークを東京ではなく大阪に設置することを決意します。

こうして1912年、大阪新世界において新たなルナパークが開園しますが、こちらも1923年には閉園を迎えることとなりました。浅草公園ルナパークは、その短い歴史の中で多くの人々に印象を残し、今もなお日本の遊園地史に名を刻んでいます。

日本初のルナパークは、短命だったもののエンターテインメントの新たな形を示した舞台であり、その精神は後の遊園地や観光施設へと引き継がれていきました。

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