ルノー・トゥインゴ

ルノー トゥインゴ：個性と進化を続ける小型車の歴史

ルノー トゥインゴは、フランスの自動車メーカー、ルノーが製造する小型乗用車です。1993年の初代モデル登場以来、そのユニークなデザインと実用性を兼ね備えた特徴から、世界中で人気を博しています。本稿では、トゥインゴの3世代にわたる歴史、デザイン、メカニズム、そして日本市場における展開について詳しく解説します。

初代トゥインゴ（1993年 - 2007年）

初代トゥインゴは、コンパクトなボディながら、広い室内空間を実現した画期的なモデルでした。短いフロントノーズと、乗員や荷物の状況に応じて自在にアレンジできるシート配置が大きな特徴です。デザインは、当時のルノーのデザイナー、パトリック・ル・ケマンによるもので、初代ホンダ・トゥデイを彷彿とさせるという声もありました。プラットフォームは専用設計で、4本のホイールを車体四隅に配置することで、最大限の室内空間を確保しています。

エンジンは当初、1.2Lの直列4気筒OHVエンジンを搭載。後にSOHCエンジン、そして高出力の16バルブエンジンへと進化しました。トランスミッションは5速MTが主流でしたが、「easy」と呼ばれる2ペダルMTも設定されました。これはクラッチ操作を自動化するシステムで、日本の自動二輪車免許でも運転が可能でしたが、故障も多く、後にリコール対象となりました。2001年には、自動変速モード付きのシーケンシャル5速MTも登場しています。

日本市場では、当初は並行輸入のみでしたが、1995年から正規輸入が開始され、戦略的な価格設定も相まって一定の成功を収めました。しかし、2003年には正規輸入が終了しています。

2代目トゥインゴ（2007年 - 2014年）

2代目は、初代のデザインを踏襲しつつ、より洗練されたデザインと改良された安全性を実現しました。プラットフォームは2代目クリオをベースとしながらも、衝突安全性を大幅に向上させています。また、初代では設定されていなかった右ハンドル仕様も用意され、グローバル展開を強化しました。多彩なシートアレンジは継承され、センターメーターも特徴的です。

エンジンは、1.2L自然吸気エンジン、1.2Lターボエンジン、1.5Lターボディーゼルエンジンなどを搭載。ルノースポール仕様には1.6Lエンジンも設定されました。トランスミッションは5速MTとクイックシフト5が用意されていました。

日本市場では、2008年に右ハンドル仕様の正規輸入が開始されました。ルノースポール仕様やゴルディーニ仕様なども投入され、日本市場に合わせた展開が行われました。

3代目トゥインゴ（2014年 - ）

3代目は、メルセデス・ベンツとの提携により、スマート・フォーフォーとプラットフォームを共有。これが、トゥインゴの大きな転換点となりました。リアエンジン、後輪駆動（ミッドシップに近いレイアウト）を採用したことで、コンパクトながら広い室内空間を実現しました。デザインは、ルノーの新たなデザインアイコンである「サイクル・オブ・ライフ」に基づいており、往年のルノー5を彷彿とさせるレトロモダンなスタイルとなっています。

エンジンはダウンサイジングされ、0.9Lの自然吸気エンジンとターボエンジンが設定されました。日本市場では、右ハンドル仕様の0.9Lターボエンジンと6速EDCの組み合わせが主流です。

日本市場では、2016年から販売が開始されました。限定車も投入され、人気を博しています。その後、マイナーチェンジや様々な限定車などを経て、2023年には日本市場での生産が終了しました。

まとめ

トゥインゴは、常に時代のニーズに対応しながら、個性的なデザインと高い実用性を両立させてきた小型車です。その歴史は、自動車業界における革新と挑戦の軌跡を物語っています。今後も、ルノーの小型車戦略において重要な役割を果たしていくでしょう。

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