ルノー・ラティテュード
フランスの自動車メーカーであるルノーは、2010年から2016年にかけて大型セダン「ラティテュード（Latitude）」を販売しました。このモデルは、傘下である韓国のルノーサムスン（現在のルノーコリア）が製造するSM5（L43型）を基に開発され、ルノーブランド向けにフロントおよびリアのデザインやエンブレム類が変更されています。中東の一部地域（UAE、クウェート、バーレーン、カタール、オマーン）やメキシコでは、「サフラン（Safran）」という名称で展開されました。
ラティテュードという車名は、英語で「行動の自由」や「裁量」といった意味を持ちます。生産はベースモデルであるSM5と同じく、韓国のルノーサムスン釜山工場で行われました。この工場にとっては、2010年の年間輸出10万台目や2011年5月の輸出累計40万台目といった節目の達成を飾るモデルともなっています。
2010年6月8日に写真が公開され、概要の一部が発表された後、同年8月25日にモスクワ国際モーターショーでワールドプレミアが行われました。当初はSM5と共通の2.0L直列4気筒ガソリンエンジン（M4R型）と、日産・ティアナなどにも搭載される2.5L V型6気筒ガソリンエンジン（VQ25DE型）が発表されました。これらのエンジンには、それぞれエクストロニックCVT（M4Rの一部には6速MTも設定）および6速ATが組み合わされました。
販売は同年9月下旬にアルジェリアやモロッコで開始され、高所得者層を主なターゲットとしました（アルジェリア向けには後に追加で3.5L V6エンジンも設定）。9月30日にはパリモーターショーで欧州仕様が公開されました。欧州向けモデルでは、ディーゼルエンジンが主力となり、240PSを発揮する3.0L V6ディーゼル（V9X型）をはじめ、出力別に2種類の2.0L直列4気筒ディーゼル（M9R型、175PSと150PS）が用意されました。これらのディーゼルモデルには基本的に6速ATが組み合わされましたが、2.0Lディーゼルには6速MTも設定され、いずれも電子パーキングブレーキを備えていました。10月下旬からは、アフリカ、ロシア、トルコ、メキシコ、オーストラリア、中国など世界各地で順次販売網が拡大されました。
2011年には、仕向け地によってはルノー・フルエンスなどにも搭載される1.5Lディーゼルエンジン（K9K型、110PS）がラインナップに追加されました。フランスをはじめとする西ヨーロッパ市場への投入は、2011年初頭から本格的に開始されました。また、2013年4月にはシンガポールのタクシー会社であるトランスキャップへ1,275台のタクシー仕様が供給される契約が結ばれ、そのうちの最初の302台が輸出されています。
2013年8月には、フランス仕様を皮切りにマイナーチェンジが実施されました。改良内容はルノーサムスンSM5の改良に準じ、ブラインドスポットワーニングの追加、アルミホイールやリアコンビネーションランプのデザイン変更、シート表皮の一新、「Renault R-Link」（SM5の「SMart Connect」に相当するインフォテインメントシステム）の設定などが行われました。ただし、フロントマスクのデザインは仕向け地によって異なり、フランス仕様は基本的に従来デザインを踏襲した一方で、中国仕様やオーストラリア仕様ではSM5と共通の新しいフロントマスクデザイン（LED内蔵ヘッドライト含む）が採用されました。
ラティテュードは、仕向け地によって多様なパワートレインが設定されました。具体的には、エンジンは1.5Lディーゼル（K9K）、2.0Lガソリン（M4R）、2.0Lディーゼル（M9R、2出力）、3.0Lディーゼル（V9X）、2.5L V6ガソリン（VQ25）、3.5L V6ガソリン（VQ35）の計6種（7タイプ）が用意されました。トランスミッションも、エンジンや仕向け地に合わせてエクストロニックCVT、6速MT、6速ATが組み合わされました。
シャシーに関しては、ベースのSM5と主要部分を共有しており、ボディサイズは全長が5mm長い程度で、それ以外の寸法はほぼ同等でした。足回りもSM5と同様に、フロントにマクファーソンストラット式、リアにマルチリンク式を採用しています。プラットフォームは、SM5のほか、ルノー・ラグナや日産・ティアナなどにも採用されている「Dプラットフォーム」を使用しています（ただしラグナはリアサスペンションがトーションビーム式）。内装においては、基本的にSM5のデザインが踏襲されましたが、オーストラリア向けなどの一部仕様では、2代目ルノーサムスンSM7に近いインパネ形状が採用された例もありました。
2015年12月、フランス市場においてラティテュードとルノー・ラグナの後継モデルとなる「タリスマン」が発表されました。これに伴い、ラティテュードは生産を終了し、その役割をタリスマンに引き継ぐこととなりました。
関連するモデルとして、兄弟車であるルノーサムスン・SM5、後継モデルのルノー・タリスマン、またプラットフォームを共有するルノー・ラグナや日産・ティアナなどが挙げられます。国際的な戦略車として、多様な市場のニーズに合わせて仕様を変えて展開された点が、ラティテュードの大きな特徴と言えます。
ルノーサムスン・SM5 - 兄弟車種
ルノー・タリスマン - 後継車種
* 日産・ティアナ - プラットフォーム共有車種
ラティテュードという車名は、英語で「行動の自由」や「裁量」といった意味を持ちます。生産はベースモデルであるSM5と同じく、韓国のルノーサムスン釜山工場で行われました。この工場にとっては、2010年の年間輸出10万台目や2011年5月の輸出累計40万台目といった節目の達成を飾るモデルともなっています。
初代（L70型、2010年 - 2016年）
2010年6月8日に写真が公開され、概要の一部が発表された後、同年8月25日にモスクワ国際モーターショーでワールドプレミアが行われました。当初はSM5と共通の2.0L直列4気筒ガソリンエンジン（M4R型）と、日産・ティアナなどにも搭載される2.5L V型6気筒ガソリンエンジン（VQ25DE型）が発表されました。これらのエンジンには、それぞれエクストロニックCVT（M4Rの一部には6速MTも設定）および6速ATが組み合わされました。
販売は同年9月下旬にアルジェリアやモロッコで開始され、高所得者層を主なターゲットとしました（アルジェリア向けには後に追加で3.5L V6エンジンも設定）。9月30日にはパリモーターショーで欧州仕様が公開されました。欧州向けモデルでは、ディーゼルエンジンが主力となり、240PSを発揮する3.0L V6ディーゼル（V9X型）をはじめ、出力別に2種類の2.0L直列4気筒ディーゼル（M9R型、175PSと150PS）が用意されました。これらのディーゼルモデルには基本的に6速ATが組み合わされましたが、2.0Lディーゼルには6速MTも設定され、いずれも電子パーキングブレーキを備えていました。10月下旬からは、アフリカ、ロシア、トルコ、メキシコ、オーストラリア、中国など世界各地で順次販売網が拡大されました。
2011年には、仕向け地によってはルノー・フルエンスなどにも搭載される1.5Lディーゼルエンジン（K9K型、110PS）がラインナップに追加されました。フランスをはじめとする西ヨーロッパ市場への投入は、2011年初頭から本格的に開始されました。また、2013年4月にはシンガポールのタクシー会社であるトランスキャップへ1,275台のタクシー仕様が供給される契約が結ばれ、そのうちの最初の302台が輸出されています。
2013年8月には、フランス仕様を皮切りにマイナーチェンジが実施されました。改良内容はルノーサムスンSM5の改良に準じ、ブラインドスポットワーニングの追加、アルミホイールやリアコンビネーションランプのデザイン変更、シート表皮の一新、「Renault R-Link」（SM5の「SMart Connect」に相当するインフォテインメントシステム）の設定などが行われました。ただし、フロントマスクのデザインは仕向け地によって異なり、フランス仕様は基本的に従来デザインを踏襲した一方で、中国仕様やオーストラリア仕様ではSM5と共通の新しいフロントマスクデザイン（LED内蔵ヘッドライト含む）が採用されました。
メカニズム
ラティテュードは、仕向け地によって多様なパワートレインが設定されました。具体的には、エンジンは1.5Lディーゼル（K9K）、2.0Lガソリン（M4R）、2.0Lディーゼル（M9R、2出力）、3.0Lディーゼル（V9X）、2.5L V6ガソリン（VQ25）、3.5L V6ガソリン（VQ35）の計6種（7タイプ）が用意されました。トランスミッションも、エンジンや仕向け地に合わせてエクストロニックCVT、6速MT、6速ATが組み合わされました。
シャシーに関しては、ベースのSM5と主要部分を共有しており、ボディサイズは全長が5mm長い程度で、それ以外の寸法はほぼ同等でした。足回りもSM5と同様に、フロントにマクファーソンストラット式、リアにマルチリンク式を採用しています。プラットフォームは、SM5のほか、ルノー・ラグナや日産・ティアナなどにも採用されている「Dプラットフォーム」を使用しています（ただしラグナはリアサスペンションがトーションビーム式）。内装においては、基本的にSM5のデザインが踏襲されましたが、オーストラリア向けなどの一部仕様では、2代目ルノーサムスンSM7に近いインパネ形状が採用された例もありました。
モデルライフの終焉
2015年12月、フランス市場においてラティテュードとルノー・ラグナの後継モデルとなる「タリスマン」が発表されました。これに伴い、ラティテュードは生産を終了し、その役割をタリスマンに引き継ぐこととなりました。
関連するモデルとして、兄弟車であるルノーサムスン・SM5、後継モデルのルノー・タリスマン、またプラットフォームを共有するルノー・ラグナや日産・ティアナなどが挙げられます。国際的な戦略車として、多様な市場のニーズに合わせて仕様を変えて展開された点が、ラティテュードの大きな特徴と言えます。
ルノーサムスン・SM5 - 兄弟車種
ルノー・タリスマン - 後継車種
* 日産・ティアナ - プラットフォーム共有車種
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