ルノー・RS01

ルノーRS01：F1ターボ時代の幕開けと苦闘の軌跡

1977年、F1世界に革命を起こすマシンが登場した。その名はルノーRS01。ルノー・スポールによって開発されたこのマシンは、F1史上初のターボエンジン搭載車として、大きな注目を集めた。

開発の背景：ル・マンからF1へ

RS01の開発は、ルノー傘下のゴルディーニにおける2リッターV6エンジン「CH1」の開発から始まる。このエンジンはF2やスポーツプロトタイプで実績を積み重ね、1975年にはアルピーヌ・ルノーA442にターボチャージャーを搭載された。ルノーは、ル・マン24時間レース制覇を目標に掲げつつ、F1への本格参戦を計画。エルフ社の資金援助を受け、排気量1.5リッターのターボエンジン「ルノー・ゴルディーニEF1」を開発、アンドレ・デ・コルタンツがシャーシ設計を担当した。1976年にはモータースポーツ部門「ルノー・スポール」が発足、ジェラール・ラルースがマネージャーに就任し、ジャン＝ピエール・ジャブイーユをテストドライバーに迎えて開発が加速した。当時、ターボエンジンはインディカーやスポーツカーレースでは一般的になりつつあったものの、F1では排気量に関するハンディキャップが存在したため、ルノー以前の挑戦はなかった。フランスの大企業によるこの独創的なプロジェクトは、世界中のモータースポーツファンを魅了した。

実戦投入と苦悩の時代：「イエロー・ティーポット」

1977年、イギリスGPでRS01はF1デビューを果たす。ミシュランのF1初となるラジアルタイヤとエルフ燃料を使用する「オールフレンチ」体制で参戦。ジャブイーユが1台体制で、実戦での開発を優先した。デビュー戦は予選21位、決勝はターボトラブルでリタイアという結果に終わった。その後もターボラグや熱処理の問題に苦しみ、白煙を上げてリタイアする場面が続出したことから、「イエロー・ティーポット」というあだ名で呼ばれることとなる。

ル・マン制覇とF1への集中

1978年、ルノーはル・マン24時間レースを優先し、F1開幕2戦を欠場した。そして見事、ル・マンで総合優勝を達成。この成功を機に、ルノー・スポールはスポーツカープログラムを終了し、F1に集中することに決めた。RS01も水冷式インタークーラーを採用することでパワーロスを改善、直線スピードが向上した。シーズン終盤のアメリカ東GPで、待望の初入賞となる4位を獲得した。

2カー体制と新たな挑戦

1979年には、ジャブイーユとルネ・アルヌーによる2カー体制で参戦。しかし、アメリカ西GPではジャブイーユが高速クラッシュ、アルヌーのマシンも同様のトラブルに見舞われた。その後、RS01はKKK製ツインターボを搭載した新型マシンRS10にバトンタッチすることとなった。

RS01のスペック

RS01は、F1におけるターボエンジンの可能性を示したパイオニア的な存在であり、その成功と苦闘はF1の歴史に深く刻まれている。信頼性の問題を抱えながらも、持ち前の潜在能力でF1に革新をもたらしたマシンとして、その存在感は大きい。

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