ルフトハンザ・エアポート・エクスプレス

ルフトハンザ・エアポート・エクスプレスは、1982年から1993年までルフトハンザドイツ航空が運行した、フランクフルト空港とデュッセルドルフ、シュトゥットガルトを結ぶ列車です。航空便として扱われたこの列車は、当時としては画期的な試みとして注目を集めました。

誕生の背景

フランクフルト空港はルフトハンザのハブ空港であり、デュッセルドルフ空港との間は約200kmと、航空便としては短距離で採算が取りにくい状況でした。そこでルフトハンザは、ドイツ連邦鉄道（DB）の列車を借り上げ、フランクフルト空港の発着容量を圧迫していた短距離航空便の代替手段としました。

運行の概要

1982年、フランクフルト空港駅 - デュッセルドルフ中央駅間で403形電車を使用した運行が開始されました。1日4往復運行され、ボンやケルンにも停車。両都市間を約2時間半で結びました。翌年にはデュッセルドルフ国際空港まで延伸されています。

この路線はライン川左岸線を経由するため、乗客は風光明媚なライン川の古城やローレライといった、航空便では味わえない景色を楽しむことができました。

列車の運転はDBの乗務員が担当しましたが、車内サービスはルフトハンザの客室乗務員が航空便と同等のサービスを提供しました。列車には航空便名が付与され、TEE（Trans Europ Express）として一等車のみで運行されました。利用にはルフトハンザの航空券が必要で、通常の鉄道乗車券では乗車できませんでした。

1990年にはフランクフルト - シュトゥットガルト間でも運行を開始。この区間では機関車牽引の客車列車が使用されました。

運行終了とその後

利用は好調だったものの、403形電車の老朽化などを理由に1993年に運行を終了しました。しかし、その後もルフトハンザ航空はフランクフルト - シュトゥットガルト間でICE（Intercity-Express）の一部座席を「AIRRailサービス」として提供しています。

さらに、2022年にはドイツ鉄道がルフトハンザ航空が加盟するスターアライアンスに「インターモーダルパートナー」として加盟し、連携を強化しています。

使用車両

デュッセルドルフ方面では、インターシティ用として製造された403形電車が使用されました。この車両は1979年以降は団体専用として運用されていました。

1990年に運行を開始したシュトゥットガルト方面では、機関車牽引の客車列車が使用されました。牽引機は当初111形が使用されましたが、1991年に高速新線経由になると103形に置き換えられました。

これらの車両は、いずれもルフトハンザのイメージカラーである黄色に塗装されていました。

ルフトハンザ・エアポート・エクスプレスは、短期間の運行でしたが、航空と鉄道の連携という新しい可能性を示し、その後の交通機関のあり方に影響を与えたと言えるでしょう。

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