ルリカケス

ルリカケス （瑠璃橿鳥）

概要

ルリカケス（学名: Garrulus lidthi）は、スズメ目カラス科カケス属に属する鳥類であり、日本の奄美大島、加計呂麻島、請島の固有種です。この美しい鳥は、特にその羽色が特徴的で、紫がかった濃青色の羽が印象的です。

分布

この鳥は奄美大島を中心に生息していますが、徳之島で1920年に発見された事例もあるものの、それ以降確実な確認はありません。これは、飼育個体が逃げ出した可能性があるためと考えられています。奄美の豊かな自然環境に適応し、地域の生態系において重要な役割を果たしています。

形態

全長は約38センチメートル、体重は170から196グラム程度で、翼長は15から18センチメートルです。頭部から頸部にかけての羽毛は瑠璃色で、額や喉は黒く、白い斑点が見られます。背中と腹部には赤褐色の羽があり、尾羽と翼は濃青色をしています。尾羽の先端には白い部分があり、細い横縞も見られます。また、この鳥の嘴は象牙色で、基部には青みがかっています。幼鳥は一般的に羽毛が褐色がかり、特に青色部分の白色部分が欠けています。

生態

ルリカケスは主に常緑広葉樹林、特にスダジイやイスノキが生える環境に生息していますが、農耕地などでも見られます。また、性格は社交的で、非繁殖期には数羽から30羽の小さな群れを形成し、協力して生活することが特徴です。食性はかなり多様で、昆虫、クモ、爬虫類、両生類、果実、種子などを食べます。地面や樹上での採食を行い、貯蔵した種子が散布されることもあります。繁殖期にはペアになると、樹洞や幹の隙間、着生植物に巣を作ります。巣は木の枝と細い草や小枝でお椀状に作られ、毎年2月から5月にかけて3から7個の卵を産むことがあります。

人間との関係

学名の「lidthi」は、オランダの自然科学者Theodoor Gerard van Lidth de Jeudeに由来しています。また、奄美大島では「ヒューシャ」や「ヒョウシャ」と呼ばれており、1965年に鹿児島県の県鳥に指定されています。過去には羽毛目的での乱獲や、現在では生息地の開発、外来種のノネコやフイリマングースによる捕食が脅威であり、これにより個体数は減少しました。ルリカケスは1921年に国の天然記念物に指定され、主な生息地となる湯湾岳は国指定の保護区域とされています。

近年では、環境保護の取り組みが実を結び、個体数は回復しつつあります。特に自然林の再生や外来種の抑制により、繁殖個体数は少なくとも1000羽と推定されています。2006年のレッドリストでは絶滅危惧種から外され、2008年には希少野生動植物種の指定も解除されました。このような成功した保全活動は、1993年の種の保存法施行以来の初めての事例とされています。将来もこの美しい鳥が地域の自然環境を活かしながら生き続けられることが望まれます。

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