ル・マレ

パリの歴史と文化が息づくマレ地区

マレ地区は、パリの中心部に位置する歴史的な地区で、3区と4区にまたがっています。その長い歴史の中で、貴族の邸宅が立ち並ぶ地域として発展し、現在では多くの歴史的建造物が残っています。また、ユダヤ人コミュニティやLGBTQ+文化の中心地としても知られ、多様な文化が混ざり合う独特の雰囲気を持っています。セーヌ川右岸に位置し、かつては貴族が暮らした地域でしたが、時代とともに様々な変遷を遂げてきました。

貴族の街から多様な文化が交差する場所へ

13世紀には、テンプル騎士団がこの地に教会を建設し、その周辺に宗教施設が建てられました。14世紀には、シャルル5世がサン＝ポール館を建設し、王宮として使用されたこともあります。その後、17世紀にはヴォージュ広場が建設され、貴族たちが競って邸宅を建てたため、マレ地区は貴族の街として繁栄しました。オテル・ド・サンスやオテル・ド・シュリーなど、現在も残る美しい邸宅は当時の繁栄を物語っています。

しかし、18世紀以降、貴族たちがフォーブール・サンジェルマン地区に移住すると、マレ地区は変化を迎えました。19世紀から20世紀初頭にかけて、東欧からのユダヤ人が多く移り住み、ロジエ通り周辺はユダヤ人街として発展しました。第二次世界大戦中はナチスによる迫害を受けましたが、戦後は再び活気を取り戻し、現在でもユダヤ文化の中心地として賑わっています。

1980年代以降、マレ地区はLGBTQ+コミュニティの中心地としても知られるようになりました。ゲイカフェやナイトクラブ、ショップなどが集まり、多様な人々が集まる場所となっています。

マレ地区の復興と現在

1950年代には、マレ地区の歴史的建造物が荒廃していましたが、1964年にアンドレ・マルローによって保存地区に指定され、復元活動が開始されました。その結果、多くの歴史的建造物が修復され、美術館や博物館として活用されています。

ピカソ美術館やカルナヴァレ博物館、コニャック＝ジェイ美術館などの有名な美術館が集まっており、芸術の街としても知られています。また、ポンピドゥー・センターも近くにあり、現代美術を楽しむこともできます。

近年では、アートギャラリーやブティック、レストランなどが多くオープンし、流行の発信地として注目を集めています。また、中国人コミュニティも存在し、多様な文化が共存する場所となっています。

マレ地区の見どころ

マレ地区には、多くの観光名所があります。以下に代表的なものを紹介します。

ヴォージュ広場: アンリ4世によって建設された美しい広場で、ヴィクトル・ユーゴーの家があります。
ピカソ美術館: ピカソの作品を収蔵した美術館で、オテル・サレという歴史的な建物の中にあります。
カルナヴァレ博物館: パリの歴史をテーマにした博物館で、オテル・カルナヴァレという美しい建物の中にあります。
ユダヤ芸術歴史博物館: ユダヤの芸術と歴史に関する展示を行う博物館で、サンタニャン館の中にあります。
サン＝ポール＝サン＝ルイ教会: バロック様式の美しい教会で、歴史的な価値が高いです。
オテル・ド・サンス: 中世の雰囲気を残す美しい邸宅で、現在は図書館として使われています。
オテル・ド・シュリー: ルネサンス様式の美しい邸宅で、庭園も楽しめます。
プレッツル: ユダヤ人街の中心地で、ユダヤ料理のレストランや書店などが立ち並んでいます。
国立中央文書館: オテル・ド・スービーズとオテル・ド・ロアンという2つの歴史的な建物の中にあります。

マレ地区は、歴史、文化、芸術、そして多様性が混ざり合う魅力的な地区です。パリを訪れる際には、ぜひマレ地区を散策し、その魅力を体験してみてください。

マレ地区の著名な居住者たち

マレ地区は、歴史的に多くの著名人が居住した場所でもあります。以下に代表的な人物を挙げます。

アンヌ・ド・モンモランシー（フランス元帥）
マクシミリアン・ド・ベテュヌ（初代シュリー公爵、アンリ4世の宰相）
マリー・ド・ラビュタン＝シャンタル（セヴィニエ侯爵夫人、書簡作家）
ブランヴィリエ侯爵夫人（17世紀のシリアルキラー）
ニコラ・フーケ（大蔵卿）
クレティアン＝ギヨーム・ド・ラモワニョン・ド・マルゼルブ（高級官僚）
ヨランド・ド・ポラストロン（ポリニャック公爵夫人、マリー・アントワネットの女官総監）
アンヌ・ルイーズ・ジェルメーヌ・ド・スタール（スタール夫人、女流作家）
ジョルジュ・サンド（女流作家）
フランソワ・マンサール（建築家）
ポール・スカロン（作家）とフランソワーズ・ドービニェ（マントノン侯爵夫人）夫妻
ヴィクトル・ユーゴー（小説家）
ジョン・ガリアーノ（ファッションデザイナー）
ジム・モリソン（ミュージシャン）
エマ・ワトソン（女優）

これらの人物は、マレ地区の歴史と文化に深く関わっており、マレ地区の魅力をさらに高めています。


マレ地区は、パリの歴史と文化が凝縮された魅力的な場所です。ぜひ一度訪れて、その魅力を体験してください。

もう一度検索