レアブア・ジョナサン

ジョセフ・レアブア・ジョナサン：レソトの首相、その生涯と政治

ジョセフ・レアブア・ジョナサン（Joseph Leabua Jonathan、1914年10月30日 - 1987年4月5日）は、レソトの政治史において重要な役割を果たした人物です。彼は、英領バストランド時代から数えて第2代目のレソト首相であり、1965年から1986年までその地位にありました。本稿では、彼の生い立ちから首相就任、政策の変遷、そして失脚に至るまでの生涯を詳細に解説します。

生い立ちと初期の経歴

ジョナサンはレリベで地方首長の子として生まれました。彼は、一夫多妻だったレソト初代国王モショエショエ1世のひ孫にあたります。若い頃は南アフリカのブラクパンの鉱山で監督官として働いていましたが、首長の一人であったため、1937年に英国保護領バソトランドに戻り、ラコロの地方政府に参加しました。また、バソトランドからロンドンへと派遣された自治政府代表団の一員にも選ばれました。

ジョナサンはカトリックに改宗し、1957年にはバソトランド国民党（独立後にバソト国民党に改称）を設立しました。1960年の選挙では4位で当選しましたが、1965年4月の選挙では国民党は勢いを失い、ジョナサン自身も落選しました。しかし、その後立候補して当選し、1965年7月7日に首相に就任しました。

首相として

ジョナサンの政策は基本的に保守的であり、当初は南アフリカのアパルトヘイトに強く反対していませんでした。そのため、周囲を囲む強大な隣国である南アフリカ共和国の首相、ヘンドリック・フルウールトやバルタザール・フォルスターから支援を受けることができました。また、南アフリカの黒人解放組織であるパンアフリカニスト会議やアフリカ民族会議には敵対的であり、これらの党を支援する国内野党のバソトランド会議党やマレマトロウ自由党にも対立していました。

しかし、1970年の選挙でバソト国民党が敗北すると、ジョナサンは選挙結果を無効とし、野党を禁止して独裁政治を開始しました。バソトランド会議党の党首ヌツ・モヘレをはじめとする野党首脳は亡命を余儀なくされ、国王モショエショエ2世も1967年1月以降自宅軟禁下に置かれ、その後オランダ、さらにイギリスへと追放されました。

アパルトヘイト政策への転換と失脚

国内の不安定化が進むと、ジョナサンは国民感情に従い、南アフリカのアパルトヘイトに反対を唱え始め、アフリカ民族会議と友好関係を結ぶようになりました。これに対し、南アフリカ政府はレソト解放軍という反政府組織を結成させ、レソトに攻撃を加えました。また、経済制裁やアフリカ民族会議の拠点の越境攻撃などでレソトに圧力をかけ続けました。

1986年1月20日、ジャスティン・レハンヤのクーデターによってジョナサンは失脚し、8月には自宅軟禁下に置かれました。そして、1987年4月5日に心臓発作で亡くなりました。

ジョセフ・レアブア・ジョナサンの生涯は、レソトの政治史における激動の時代を反映しています。彼の政策は、保守からアパルトヘイトへの反対、そして独裁政治へと変遷し、最終的にはクーデターによって失脚しました。彼の政治的な遺産は、今日でもレソトにおいて議論の対象となっています。

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