レイモン・バール

レイモン・バール：フランスの政治・経済を牽引した人物

レイモン・バール（Raymond Barre）は、1924年4月12日にフランスの海外領土であるレユニオン島で生まれ、2007年8月25日にパリで亡くなった、フランスの政治家であり経済学者です。彼は、フランス政界において重要な役割を果たし、経済政策においても大きな影響を与えました。

経歴

バールは、1950年に法律及び経済学のアグレガシオン（教授資格）を取得。パリ政治学院の教授を経て、1959年から1962年まで産業貿易省の大臣官房長を務めました。1967年にはド・ゴール大統領によって欧州委員会副委員長に推薦され、1973年までブリュッセルで勤務しました。その後、1976年に対外貿易相として入閣し、政界での地位を確立しました。

首相として

1974年、ジスカール・デスタンが大統領に就任すると、バールはその経済手腕を高く評価され、首相兼経済・財政相に任命されました。これは、第五共和政において異例の人事でした。1978年に経済・財政相は辞任しましたが、1981年5月まで首相を務めました。

バール内閣は、インフレ抑制、公共支出の削減、産業界のリストラを主導しました。しかし、労働組合との対立が激化し、その強硬な姿勢から国民の反感を買うこともありました。「不平を言うのではなく、一生懸命に働け」という彼の言葉は、正論ではあったものの、石油危機を脱却できない状況下で国民への責任転嫁と受け取られ、フランス史上最も嫌われた首相の一人と言われています。

首相辞任後

1981年5月の内閣総辞職後、バールはローヌ県選出の国民議会議員として活躍。1980年代には、右翼陣営の主導権をめぐり、共和国連合総裁のジャック・シラクと対立しました。彼はコアビタシオン（保革共存）に反対し、1988年の大統領選挙では民主連合から立候補しましたが、ミッテラン、シラクに次ぐ3位に終わりました。その後、1995年から2001年までリヨン市長を務め、地方政治にも貢献しました。

人物

バールは、その厳格な性格と経済政策に対する強い信念で知られていました。彼は、フランス経済の安定化のために尽力しましたが、その手法は常に議論の的となりました。しかし、彼の知性とリーダーシップは、多くの人々に認められていました。

死去

2007年8月25日、バールは心臓病のためパリの病院で83歳で亡くなりました。彼の死は、フランス政界に大きな衝撃を与え、多くの人々がその功績を偲びました。

レイモン・バールは、フランスの政治・経済において重要な役割を果たした人物として、その名は長く記憶されるでしょう。

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