レウコス

レウコス (小惑星番号11351) は、木星軌道上で発見された数千個のトロヤ群小惑星の一つです。これらの小惑星は、木星と太陽の重力が平衡を保つ特別な領域であるラグランジュ点に位置しています。レウコスは、木星の公転軌道の約60度前方に位置するラグランジュ点L4、「ギリシャ群」と呼ばれるグループに属し、スペクトル分類ではD型に分類されます。これはトロヤ群で最も一般的なタイプです。

この天体は1997年10月12日、中国科学院国家天文台の興隆観測基地における掃天プログラムによって発見されました。過去に遡ると、最も古い観測記録は1982年7月25日にオーストラリアのサイディング・スプリング天文台で撮影された写真乾板に写っていたものです。

レウコスの軌道は、木星とほぼ同じ距離で太陽を周回し、木星との1対1の軌道共鳴関係を維持しています。約12年2ヶ月（およそ4452日）の周期で太陽を一周し、太陽からの距離は5.0天文単位から5.6天文単位の間で変動します。軌道の詳細な要素は、軌道長半径約5.30天文単位、軌道離心率約0.065、黄道面に対する軌道傾斜角約11.6度です。

物理的特徴として、レウコスはD型小惑星であり、主に始原的な物質で構成されると考えられています。トロヤ群は他にC型や原始的なP型を含みます。特筆すべきはその極めて長い自転周期です。2013年の研究で513.7時間、2018年の研究では445.732時間と、異なる値ながらも非常に長い周期が報告されています。非主軸回転の兆候は見つかっていません。赤外線天文衛星IRASやNEOWISEによる観測では、表面のアルベドが低く、それぞれ0.06、0.08という値が得られ、これにより推定された直径はIRASで約42.1キロメートル、NEOWISEで約34.2キロメートルとされています。

この小惑星は、古代ギリシャの詩人ホメロスによる叙事詩『イリアス』に登場する人物にちなんで命名されました。レウコスは英雄オデュッセウスに仕えたアカイア人の戦士で、2016年2月22日にこの名前が正式に与えられました。

レウコスは、NASAのトロヤ群小惑星探査ミッション「ルーシー」の主要目標天体の一つです。ルーシー探査機は2021年10月16日に打ち上げられ、複数のトロヤ群小惑星を観測予定です。レウコスへの接近観測は2028年4月18日に計画されており、探査機は秒速約5.9キロメートルで約1000キロメートルの距離を通過します。この接近観測から、レウコスの形状、組成、内部構造に関する貴重なデータが得られると期待されています。

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