レオニー (映画)

映画『レオニー』の概要

『レオニー』は、2010年に公開された日本とアメリカの共同制作による映画です。この作品は、世界的に有名な彫刻家イサム・ノグチの母であるレオニー・ギルモアの生涯を描いています。監督の松井久子が、ドウス昌代の著作『イサム・ノグチ 宿命の越境者』に感銘を受け、自らの手でこの物語を映像化することに乗り出しました。製作には7年もの年月がかかり、キャッチコピーには「お母さん、私はこの子を連れて日本という国に行きます。」という力強い言葉が掲げられました。

制作の背景

映画制作は、2009年4月にアメリカでのクランクインから始まり、その後日本にてロケを行いました。撮影は日本の13都市にわたり、愛知県犬山市の博物館明治村や札幌市のモエレ沼公園など、多様なロケーションが使用されました。また、アメリカでもルイジアナ州のニューオリンズやカリフォルニア州のサンタバーバラなどで撮影が行われました。

特筆すべきは、地域住民やボランティアの活動です。2006年には、「マイレオニー」という非営利団体が発足し、製作を支援しました。この団体は、映画製作の進捗を報告する活動を行うと同時に、撮影時には多くのサポーターがエキストラとして参加する姿勢を見せました。また、モエレ沼公園がロケ地として使用されることから、北海道の企業数社が製作費の出資を行い、地域振興にも貢献しました。

発表と公開

2010年秋から2011年にかけて、日本版132分が公開されましたが、海外向けには100分に編集され、2013年秋にアメリカでの上映が完了しました。この海外版は再び日本でも上映され、松井久子監督の講演ともに行われました。松井監督は、レオニー・ギルモアの物語に強く興味を持ち、映画の制作のために草の根資金調達活動を行った結果、12億円もの寄付を集めました。

あらすじ

物語は1901年、名門大学を卒業したレオニー・ギルモアが詩人になることを夢見ながらも、一人の神秘的な青年詩人・野口米次郎（ヨネ）との出会いによって、波乱に満ちた人生を歩む姿を追います。彼女はヨネを愛し、妊娠しますが、ヨネは一方的に日本へ帰国し、残されたレオニーは未婚で混血の男の子をカリフォルニアで出産します。

レオニーはさらなる苦難を乗り越え、日本行きを決意します。明治後期の東京で息子は「イサム」と名付けられ、彼女は人種差別や家庭内の問題に直面しながらも子供たちを育てようと奮闘します。国際的な紛争や自身の心の葛藤を抱えつつ、最終的にレオニーはアメリカへと戻り、自分自身を見つめ直す旅に出ます。

キャスト

本作にはエミリー・モーティマーがレオニー役を、中村獅童がヨネ役を演じるなど、豪華なキャストが揃いました。その他にも原田美枝子や竹下景子など、日本の名優が出演しており、それぞれのキャラクターが物語に深みを与えています。

スタッフ

松井久子監督は脚本・製作者としても関わり、アショク・アムリトラジや永井正夫などがプロデューサーとして名を連ねています。音楽はアカデミー賞受賞のヤン・A・P・カチュマレクが担当し、映画全体の雰囲気を引き立てています。

結論

『レオニー』は、母と子、そして異文化の間に生きる人々の苦悩と葛藤を描いた感動的な作品です。母親の愛情や強さ、そして子供たちの運命と成長を描くことで、視聴者に様々な感情と考察を与えます。

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