レオ4世 (ローマ教皇)

レオ4世（Leo IV, 790年? - 855年7月17日）は、9世紀にローマ教皇を務めた人物です。彼の治世は、サラセン人の侵攻と、それに伴うローマ市内の復興が主な特徴です。

生涯

レオ4世はローマで生まれ、847年4月10日に満場一致で教皇に選出されました。当時、彼は四王冠教会の枢機卿であり、グレゴリウス4世の副助祭、そして前任者セルギウス2世の配下で主席司祭を務めていました。

教皇としてのレオ4世は、前任者の時代にサラセン人によって損害を受けたローマ市内の教会の修復に注力しました。特に、サン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂とサン・ピエトロ大聖堂への損傷の修復は重要でした。これらの教会は、当時のキリスト教信仰の中心地であり、その復旧はローマ市民にとっても大きな意味を持っていました。

防衛と軍事行動

848年から849年にかけて、サラセン人がガエータを包囲すると、レオ4世は都市の城壁を修復し強化しました。ムスリム勢力がテヴェレ川北岸の港湾に迫ると、レオ4世はナポリ、ガエータ、アマルフィの海運都市に軍の派遣を要請し、連合軍を結成しました。連合艦隊の指揮は、ナポリ公の息子シザーリオに委ねられました。この連合軍とムスリム勢力との間で行われた海戦は「オスティアの戦い」として知られ、中世教皇史上でも重要な戦いの一つとされています。この戦いの様子は、バチカン宮殿の「ラファエロの間」に、ラファエロ・サンティとその弟子たちによって描かれたフレスコ画に記念されています。また、レオ4世の生涯を記念するフレスコ画には、ローマのアングロサクソン地区（ボルゴ）で起こった火災を、彼が十字を切るだけで鎮めたという奇跡を描いた「ボルゴの火災」もあります。

ローマ防衛の強化

サラセン人の脅威を完全に排除するため、レオ4世はテヴェレ川右岸の近郊地域を守る新たな城壁の建設を命じました。この城壁は、それまで無防備だったサン・ピエトロ大聖堂をも含むもので、城壁で囲まれた地区は「レオの市街」を意味する「Civitas Leonina」として今日まで知られています。彼はまた、城壁の外にある聖パウロ教会とサン・ピエトロの装飾も行いました。サン・ピエトロ大聖堂には、金で覆われ宝石で飾られた93.3kgもの祭壇が再び設置されました。

教会会議と後継者

レオ4世は在位中に3度の教会会議を開催しました。そのうちの1回には皇帝ルートヴィヒ2世が臨席しました。また、ランスのヒンクマルとの教皇の闘争は、彼の時代から始まり、後継者ニコラウス1世の時代に引き継がれました。レオ4世の死後、ベネディクトゥス3世が教皇位を継承しました。また、女教皇ヨハンナが男装して彼の後を継いだと信じる者もいますが、ヨハンナは一般的には伝説上の人物と考えられています。

レオ4世は855年7月17日に亡くなり、サン・ピエトロに埋葬されました。彼の治世は、サラセン人の脅威に直面しながらも、ローマの防衛と教会の復興に尽力した時代として記憶されています。

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