レキツ

レキシの音楽キャリアにおける重要な節目となったのが、2011年にリリースされた2枚目のスタジオ・アルバム『レキツ』です。前作『レキシ』から約3年9ヶ月という時間を経て届けられたこのフルアルバムは、彼の深化と新たな広がりを示す作品となりました。

本作には、書き下ろしの新曲9曲に日本盤のみのボーナストラック1曲を加えた、計10曲が収められています。歴史をテーマにした独特な歌詞と、ファンクやソウル、ポップスなど多様なジャンルを融合させたサウンドは健在。アルバムのキービジュアルには「平安貴族」を据え、ユーモアと洗練が共存する世界観を表現しています。アートワークはクリエイティブディレクターの箭内道彦氏が手掛けました。

『レキツ』最大の聴きどころの一つは、その豪華かつ多彩なゲストミュージシャンたちです。前作にも参加した盟友、足軽先生こといとうせいこう氏、そしてシャカッチことハナレグミ氏が引き続き参加し、レキシの世界観に深みを与えています。さらに、このアルバムでレキシの音楽に初参加となった顔ぶれも非常に注目に値します。ジャンルや世代を超えた以下のようなアーティストたちが、それぞれのレキシネームを冠して参加。彼らの個性的なボーカルやラップ、演奏が、アルバム収録曲に鮮やかな彩りを添えています。

MC末裔（ANI from スチャダラパー）
MC四天王（BOSE from スチャダラパー）
聖徳ふとこ（安藤裕子）
足軽先生（いとうせいこう from □□□）
東インド貿易会社マン（グローバー義和 from Jackson vibe）
Deyonná（椎名林檎）
シャカッチ（ハナレグミ）
マウス小僧JIROKICHI（堂島孝平）
織田信ナニ？（浜野謙太 from SAKEROCK、在日ファンク）
MC母上（Mummy-D from RHYMESTER）

アルバム収録曲の中でも特に広く知られることとなったのが、2曲目に収録されている「きらきら武士 feat. Deyonná」です。この楽曲は、アルバムリリースから数年後の2016年11月9日より、ダイハツ工業のコンパクトトールワゴン「トール」のテレビCMソングとして起用され、レキシの存在をより多くの人々へ知らしめるきっかけの一つとなりました。

『レキツ』の初回限定盤は、ファンにとって特別な仕様となっていました。特筆すべきは、本人と参加ミュージシャンが約1万枚に渡り直筆で手書きしたジャケットです。一枚一枚異なる手書きの温かみが感じられるこのジャケットは、大きな話題を呼びました。また、付属のDVDには、アルバム制作の舞台裏に迫るドキュメンタリー映像や、収録曲「どげんか遷都物語」のミュージックビデオが収録され、作品の世界をさらに深く楽しむことができる内容となっています。

レキシの楽曲に欠かせない安定した演奏は、長年彼を支えるサポートメンバーによって実現されています。本作でも、以下の面々が参加し、楽曲にグルーヴと厚みをもたらしています。彼らの確かな技術が、レキシのユニークなメロディーと歌詞を際立たせています。

ヒロ出島（山口寛雄 / ベース）
蹴鞠chang（玉田豊夢 / ドラムス）
DA小町（町田昌弘 / ギター）
REKISHI ALL STARS

『レキツ』は、レキシの音楽的探求心とユーモア、そして多数の才能あるミュージシャンとのコラボレーションが見事に結実した作品です。歴史というテーマを扱いながらも、決して堅苦しくなく、聴く者を自然と笑顔にさせる彼の音楽は、このアルバムでさらに多くのリスナーを魅了しました。バラエティ豊かな楽曲群は、一度聴いたら忘れられない印象を残すことでしょう。

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