レジサイド (チャールズ1世)

レジサイド：チャールズ1世処刑と王政復古後の報復

1649年、イングランド王チャールズ1世は議会派によって処刑されました。この出来事に関与した者たちは「レジサイド」(regicide、王殺し)と呼ばれ、王政復古後の1660年代、チャールズ2世による厳しい報復に直面することになります。本記事では、レジサイドとその後の処罰について詳述します。

イングランド内戦とチャールズ1世の処刑

1642年から1651年にかけて、チャールズ1世率いる王党派と、オリバー・クロムウェル率いる議会派との間でイングランド内戦が勃発しました。三度にわたる内戦の後、議会派が勝利し、チャールズ1世は捕縛、裁判にかけられ、死刑判決を受けました。

チャールズ1世の裁判には135人の委員が選出されましたが、多くは事前告知なく任命され、裁判への参加を拒否する者もいました。公開裁判の後、チャールズ1世は「暴君的に悪意をもって、議会と国民への戦争を駆り立てた」罪で有罪となり、59人が死刑執行令状に署名しました。1649年1月30日、チャールズ1世はホワイトホールで斬首されました。

王政復古と免責・大赦法

1660年、クロムウェルの死後、政治不安が高まる中、ジョージ・マンク将軍がスコットランドから南下、王党派と協力して王政復古を導きました。亡命中のチャールズ2世（チャールズ1世の息子）は、ブレダ宣言で和解と恩赦を約束し、帰国を果たしました。

チャールズ2世の帰還後、議会は免責・大赦法を可決しました。これは内戦と共和政時代の多くの罪を赦免するものでしたが、チャールズ1世の処刑に関わった104人は恩赦の対象外とされました。この104人こそが、厳格な意味での「レジサイド」として扱われたと言えるでしょう。

レジサイドへの報復

恩赦対象外とされた104人のレジサイドのうち、24人はすでに死亡していました。彼らには死後処刑が執行され、遺体は掘り起こされて絞首・斬首され、首はウェストミンスター宮殿に晒されました。

存命中だったレジサイドへの処罰は極めて厳しく、10人が処刑され、19人が終身刑に処せられました。多くは財産を没収され、公職から追放されました。21人は国外に亡命し、その多くはオランダやスイスに逃れましたが、中には北アメリカのニューイングランド植民地へ逃れた者もいました。

レジサイドの定義とブラックリスト

「レジサイド」の定義は明確ではありません。免責・大赦法には「regicide」という語は用いられておらず、歴史家によってその範囲の解釈が異なります。チャールズ2世自身も、このリストに無実の者が含まれている可能性を示唆する発言をしています。このレジサイドの一覧は、後のブラックリストの先駆けと言えるでしょう。

スコットランドの事例

スコットランドでも王政復古後、同様の免責・大赦法が成立しましたが、イングランドよりも多くの者が恩赦対象外とされました。しかし、処刑されたのは4人だけで、その罪状は王殺しではなく、反逆罪でした。

まとめ

チャールズ1世処刑に関わったレジサイドたちは、王政復古後、厳しい報復を受けました。彼らの処罰は、イングランドにおける王権と共和主義の対立、そして王権回復後の政治的再編を示す象徴的な出来事でした。また、レジサイドの定義や処罰の基準が曖昧であった点も、この歴史的事件の複雑さを示しています。 レジサイドに関する詳細な情報は、当時の記録や歴史家の研究を参照することで得られます。

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