レジパスビル

ハーボニー(レジパスビル・ソホスブビル合剤)：C型肝炎治療薬の解説

ハーボニーは、C型肝炎ウイルス(HCV)感染症治療薬として開発された、レジパスビルとソホスブビルを合剤とした経口剤です。2013年のレトロウイルスおよび日和見感染症学会(CROI)で発表された臨床試験データでは、レジパスビル、ソホスブビル、リバビリンの3剤併用療法がジェノタイプ1のC型肝炎ウイルスに対して高い有効性を示しました。特に、インターフェロンフリー療法において、未治療患者や既治療患者の双方で高いウイルス排除率（SVR12）が確認されています。

開発と承認

レジパスビルは、HCVのNS5Aタンパク質を阻害することで、ウイルスの複製、組立、放出を抑制する作用機序を持ちます。ソホスブビルは、RNA依存性RNAポリメラーゼであるNS5Bを阻害するヌクレオシドアナログです。両薬剤の併用は、HCVに対する強力な抗ウイルス効果を発揮します。

米国では2014年10月に、日本では2015年7月に承認されました。開発コードはGS-5885です。 リバビリン併用療法についても臨床試験が行われ、インターフェロンフリー療法の有効性が確認された結果、インターフェロンとリバビリンを併用しない治療法が主流となっています。

効能・効果

日本の承認内容は、「セログループ1（ジェノタイプ1）のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」です。ハーボニーは、未治療のC型肝炎患者だけでなく、既治療で効果が得られなかった患者に対しても有効性が示されています。

禁忌

以下の患者さんには禁忌とされています。

重度の腎機能障害（eGFR < 30mL/分/1.73m2）または透析が必要な患者
カルバマゼピン、フェニトイン、リファンピシンを服用中の患者
セイヨウオトギリ（セント・ジョーンズ・ワート）含有食品を摂取している患者
製剤成分に対し過敏症の既往歴のある患者

慎重投与

B型肝炎ウイルス感染の患者または既往感染者では、B型肝炎ウイルスの再活性化に注意が必要です。

副作用

臨床試験における主な副作用は、瘙痒症、悪心、口内炎などです。海外の臨床試験では、疲労感、頭痛なども報告されています。重大な副作用として、高血圧と脳血管障害が報告されていますが、頻度は不明です。

相互作用

レジパスビルはP糖蛋白質の基質であるため、P糖蛋白質を誘導するセイヨウオトギリやリファンピシンなどの薬剤との併用は、レジパスビルの血中濃度を低下させ、治療効果を減弱させる可能性があります。

作用機序

レジパスビルは、HCVのNS5Aタンパク質の機能を阻害することで、ウイルス複製を阻害します。一方、ソホスブビルは、HCVのRNAポリメラーゼであるNS5Bを阻害することで、ウイルスRNAの複製を阻害します。両者の作用機序が相乗的に働き、高い抗ウイルス効果を発揮します。

その他

2017年には、ハーボニーの偽造品が流通した事例がありました。厚生労働省は、関係各所への注意喚起を行いました。

まとめ

ハーボニーは、インターフェロンフリーのC型肝炎治療薬として、高い有効性と安全性を示す革新的な治療法です。しかし、禁忌や相互作用、副作用の可能性を理解し、医師の指示に従って正しく使用することが重要です。

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