レスリー・ハワード

レスリー・ハワード（本名：レスリー・ハワード・スタイナー、1893年4月3日 - 1943年6月1日）は、イギリスの俳優であり、その洗練された英国紳士のイメージで知られています。息子のロナルド・ハワードも俳優として活躍しました。

生い立ちとキャリアの始まり

レスリー・ハワードは、ロンドン南東部のアッパー・ノーウッドで、裕福なユダヤ系ハンガリー人の株式仲買人の父と、ユダヤ系イギリス人の母の間に生まれました。大学卒業後、銀行に勤務していましたが、第一次世界大戦中に戦争神経症を患い、その治療の一環として演劇を勧められたことが、俳優としてのキャリアをスタートさせるきっかけとなりました。甘いマスクと長身のスリムな体型を活かし、舞台でトップスターとしての地位を確立し、その後映画界にも進出しました。

映画界での活躍

1933年、レスリー・ハワードはロマンティック・コメディ『バークレー・スクエア』でアカデミー賞に初ノミネートされました。翌年の『痴人の愛』では、ベティ・デイヴィスと共演し、その演技が注目を集めました。また、冒険活劇『紅はこべ』では、正義のヒーロー、紅はこべを演じました。この撮影中には、アレクサンダー・コルダ夫人のマール・オベロンとの不倫関係も噂されました。

1936年には、ハンフリー・ボガートとの舞台作品『化石の森』が映画化され、自由奔放なアラン役を演じました。この作品では、当初エドワード・G・ロビンソンが予定されていた悪役マンティ役に、ハワードがボガートを推し、ボガートのキャリアにおける重要な転機となりました。ボガートはハワードの恩を忘れず、娘に「レスリー・ハワード・ボガート」と名付けたという逸話があります。

また、1936年には『ロミオとジュリエット』に出演し、43歳にしてティーンエイジャーのロミオを演じました。1938年には、代表作の一つとなる『ピグマリオン』（後に『マイ・フェア・レディ』としてリメイク）でヒギンズ教授を演じ、アカデミー賞主演男優賞にノミネート、ヴェネツィア国際映画祭では主演男優賞を受賞しました。

1939年には、大作『風と共に去りぬ』で、ヒロインのスカーレット・オハラが想いを寄せるアシュレー・ウィルクスを演じました。誠実で繊細なアシュレー役は、レスリー・ハワードのイメージにぴったりでした。

非業の死

第二次世界大戦が勃発すると、レスリー・ハワードはイギリスに戻り、兵士たちを激励する講演活動に奔走しました。しかし、1943年6月1日、リスボン発ホワイトチャーチ行きのBOAC777便（ダグラスDC-3）に搭乗中、ビスケイ湾上空でドイツ空軍のユンカースJu 88に撃墜され、乗員乗客17人全員が死亡するという悲劇に見舞われました（レスリー・ハワード搭乗機誤撃事件）。

当時、中立国であったポルトガルのリスボンは、枢軸国と連合国の捕虜交換の拠点であり、各国のスパイが暗躍する場所となっていました。事故当時、イギリスのチャーチル首相はアルジェを訪問中で、ハワードのマネージャーが首相に似ていたこと、またハワード自身も首相のボディガードに似ていたことから、ドイツのスパイが誤ってハワードの搭乗機を首相の搭乗機と誤認し、攻撃したという説があります。また、ドイツ諜報部はハワード自身にもスパイ活動の疑いをかけていましたが、その証拠となる資料は発見されていません。

主な出演作品

バークレー・スクエア (1933)
痴人の愛 (1934)
紅はこべ (1934)
化石の森 (1936)
ロミオとジュリエット (1936)
ピグマリオン (1938)
風と共に去りぬ (1939)

参照

レスリー・ハワード - allcinema
レスリー・ハワード - KINENOTE
Leslie Howard - オールムービー（英語）
* Leslie Howard - IMDb（英語）

レスリー・ハワードは、その短い生涯の中で、数多くの人々に感動を与え、記憶に残る俳優でした。彼の演技は、今もなお多くのファンを魅了し続けています。

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