レゾリューション (帆船)

レゾリューション号：クック船長と共に極地へ、そして歴史の闇へ

レゾリューション号は、18世紀イギリス海軍を代表する小型帆船です。その名は、ジェームズ・クック船長と深く結びついており、彼の二度の大航海、南極探査と北西航路探査において重要な役割を果たしました。本稿では、建造から謎に包まれた最期まで、レゾリューション号の生涯を詳細に辿ります。

建造と二度目の航海

レゾリューション号は、1770年、ノースヨークシャー州ウィットビーで石炭運搬船として建造されました。その後、イギリス海軍省に購入され、当初は「ドレイク」と命名されますが、スペインとの外交問題を考慮し「レゾリューション」と改名されました。全長約34メートル、幅約11メートル、462トンの船体は、当時最新の航海技術を結集したものでした。最新鋭のコンパス、氷錨、浄水装置などの装備に加え、12門の大砲も搭載していました。

クック船長の二度目の航海では、博物学者ジョゼフ・バンクスが当初同行予定でしたが、船の改造を巡るトラブルから参加を辞退。代わりにプロイセンの博物学者、ジョン・ラインホルド・フォスターが参加しました。この航海の大きな目的の一つは、南極大陸の存在の有無を確かめることでした。

精密な経度測定のため、ジョン・ハリソンが発明したクロノメーターが搭載され、天文学者も同行しました。1772年7月13日、レゾリューション号は僚船アドヴェンチャー号と共にプリマス港を出港。1773年1月には、世界で初めて南極圏への突入に成功しました。南緯71度10分まで到達し、南極大陸に非常に近い位置にまで達するも、大陸を発見することはできませんでした。しかし、この航海でクック船長は、当時議論されていた南方大陸の存在を否定する有力な証拠を得ることになります。1773年7月30日、レゾリューション号はイギリスに無事帰還しました。

三度目の航海と悲劇

クック船長の三度目の航海は、北西航路、すなわち北極海を通って太平洋と大西洋を結ぶ航路の探査を目的としていました。レゾリューション号は、前回の航海からの修理が不十分な状態での出航となり、雨漏りや浸水に悩まされました。僚船はアドヴェンチャー号からディスカバリー号に交代しました。1776年7月12日、レゾリューション号は再びプリマス港を出港。北米太平洋側を北上し、ベーリング海峡へと進みましたが、氷の壁に阻まれ、北西航路の発見には至りませんでした。この航海でハワイ諸島を発見し、「サンドウィッチ諸島」と命名しました。

しかし、1779年2月14日、ハワイ島でクック船長は悲劇的な最期を迎えました。その後、レゾリューション号の指揮はチャールズ・クラーク、そしてジョン・ゴアへと引き継がれ、1780年9月30日、イギリスへ帰還を果たします。

消息不明の最期

帰国後、レゾリューション号は武装輸送艦に改装され、インドへと向かいました。しかし、1782年6月9日、フランス艦隊に拿捕されてしまいます。その後、マニラに派遣された記録が残っていますが、1782年7月22日以降の消息は途絶え、その最期は謎に包まれています。様々な憶測が飛び交うものの、確かな記録はなく、沈没したか、イギリスに拿捕されたか、はたまた別の運命を辿ったのか、いまだに解明されていません。レゾリューション号の生涯は、18世紀の海洋探検史に大きな足跡を残すと同時に、多くの謎を後世に伝えています。その存在は、今もなお、歴史家の探求心を掻き立て続けています。

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