レゾリューション島 (カナダ)

レゾリューション島

レゾリューション島（Resolution Island）は、カナダの広大な北極諸島の中に位置する、自然そのままの姿をとどめる無人島です。行政区分としては、ヌナブト準州のクィキクタアルク地域に属しています。

地理

この島は、カナダ最大の島であるバフィン島のすぐ沖合、大西洋とカナダ本土の間に広がるハドソン海峡の東端部に位置しています。その面積は約1,015平方キロメートルに及び、カナダの多くの無人島の中でも比較的大規模な部類に入ります。島の地理的な位置は、周辺の水域や陸地との関係において特徴づけられます。具体的には、島の西側にはバフィン島が大きく横たわり、両島の間の水域にはロウアーサヴェッジ諸島が点在しています。また、レゾリューション島のすぐ北側には、グラーブ海峡を隔ててエッジェル島があります。ハドソン海峡という重要な水路の中に位置することは、かつては航海の要衝としての潜在的な価値を示唆しています。北極圏特有の厳しい気候と地形が、島の自然環境を形成しており、現在も手つかずの状態が保たれています。

歴史

レゾリューション島の歴史は、ヨーロッパ人による北極圏の探検時代に深く結びついています。この島にヨーロッパ人が初めて記録として残る形で上陸したのは、1576年7月28日のことでした。上陸を果たしたのは、イギリスの著名な航海士であり探検家であったマーティン・フロビッシャーです。彼は、アジアへの最短航路となる北西航路の発見を目指し、この地域を探検していました。彼の探検は、後に続く多くの北極探検の先駆けとなりました。

島に現在の「レゾリューション」という名前が与えられたのは、フロビッシャーの上陸からしばらく経った1612年のことです。この命名を行ったのは、同じくイギリスの航海士で北西航路探索者であったトマス・バトンです。バトンは自身の探検に使用していた船「レゾリューション号」にちなんでこの島を命名しました。これは当時の探検家によく見られた命名習慣の一つで、彼らの航海における重要な地点に、自らの船や後援者の名前などを冠することで、その発見や功績を記念するものでした。バトンによる命名は、ハドソン湾への新しい航路探索の一環として行われたと考えられています。

この島は、その歴史的な発見と命名の背景から、初期の北極探検における重要な地点であったと言えます。しかし、厳しい気候条件と地理的な隔絶のため、恒久的な人間の定住地が築かれることはなく、現在まで無人島として存在しています。その手つかずの自然は、北極圏の生態系や地理的な特性を研究する上で貴重な場所となっています。レゾリューション島は、カナダ北極圏における探検の歴史と、その厳しくも美しい自然環境を静かに物語る存在です。

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