レッスルマニアXXVI

レッスルマニアXXVIは、2010年3月28日、アメリカのプロレス団体WWEが開催した、年間最大のプロレス興行です。アリゾナ州グレンデールで開催され、7万2219人を動員、580万ドルのチケット売上を記録しました。これは、同会場で開催されたイベントとしては最多を記録する大成功でした。開催地には約4510万ドルの経済効果をもたらし、WWEは過去3回のレッスルマニアで合計約1億5000万ドルもの経済効果を各開催地に与えたことになります。

大会を彩った出来事の一つに、ブレット・ハートの12年ぶりのWWE復帰があります。オーナーのビンス・マクマホンとの長年の確執を背景に、レッスルマニアでの一戦が実現しました。また、アントニオ猪木がWWE殿堂入り表彰後、会場に登場し、観客から大きな歓声を受けました。ジョン・シナの入場時にはアメリカ空軍儀仗隊による演技が披露され、オープニングではグラミー賞ノミネート歌手ファンタジア・バリノがアメリカ国歌を独唱するなど、盛大なイベントとなりました。

大会の試合内容も非常に注目に値します。ジョン・シナとバティスタによるWWE王座戦は、シナがエリミネーション・チェンバーで王座を獲得した直後、ビンス・マクマホンの介入によって急遽決定されたものでした。エッジとクリス・ジェリコの世界ヘビー級王座戦は、エッジのアキレス腱断裂からの電撃復帰、そしてロイヤルランブル制覇を経て実現しました。また、レガシーの分裂によるランディ・オートン、コーディ・ローデス、テッド・デビアスのトリプルスレットマッチも大きな話題となりました。

そして、大会のメインイベントは、ショーン・マイケルズとジ・アンダーテイカーによるノンタイトルマッチでした。これは、『Streak vs. Career（連勝記録vsキャリア）』と銘打たれ、マイケルズは敗北したら引退、テイカーは敗北したらレッスルマニア連勝記録が途切れるという、非常に大きな意味を持つ試合でした。この試合は、両者による激しい攻防が繰り広げられ、多くのファンやメディアから年間最高試合として称賛されました。最後はテイカーが勝利し、ショーン・マイケルズの引退が決まりました。試合後、両者は握手を交わし、抱擁で別れを惜しみました。

もう一つの注目点は、ブレット・ハートとビンス・マクマホンによる「モントリオール事件」の決着戦です。長年の確執を経て、ついにレッスルマニアで反則なしの試合が実現しました。しかし、ビンスの策略によりランバージャック形式に変更された試合は、ブレット・ハートと彼の家族、そしてレフェリーである兄ブルース・ハートによる、ビンスへの痛烈な反撃という予想外の展開となりました。ブレットの圧倒的な勝利によって、12年にも及ぶ両者の確執は終止符を打ちました。ただし、ブレットの身体状況を考慮した試合展開だったため、一部からは凡戦との評価もありました。

その他にも、ヨシ・タツが優勝した26人バトルロイヤル、ミズとビッグショーによるタッグ王座防衛戦、ジャック・スワガーのマネー・イン・ザ・バンク制覇、レイ・ミステリオとCMパンクの一騎打ちなど、数々の見どころ満載の大会となりました。レッスルマニアXXVIは、多くのスター選手たちの活躍、そして歴史に残る名勝負の数々によって、WWEの歴史に刻まれた、忘れられない大会となりました。

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