レパルス (巡洋戦艦)

レパルス(HMS Repulse) - 栄光と悲劇の巡洋戦艦

レパルスは、イギリス海軍が誇る巡洋戦艦でした。その名は「撃退、反撃」を意味し、第一次世界大戦中に建造されました。レナウン級の2番艦として、姉妹艦レナウンよりも早く竣工したレパルスは、強力な火力とスピードを誇る艦艇でした。しかしながら、第一次世界大戦では大きな活躍の機会を得られず、主にグランド・フリートに所属して任務につきました。

第一次世界大戦

1916年の就役後、レパルスはグランド・フリートの第1巡洋戦艦戦隊の旗艦となり、ドイツ海軍との戦闘にも参加しました。1917年には、艦上に飛行機滑走台を設置、イギリス海軍艦艇としては初の試みとなりました。これは飛行船撃退を目的としたものでした。同年、ソッピース・パップという航空機の離床にも成功しています。この頃、レパルスは迷彩塗装を施されていました。第二次ヘリゴラント・バイト海戦では、ドイツ海軍の戦艦や巡洋艦と交戦し、ケーニヒスベルクに命中弾を与えた記録があります。しかし、味方艦との衝突事故も経験しています。

両大戦間期

第一次世界大戦後、レパルスは近代化改装を受け、防御力を強化しました。ワシントン海軍軍縮条約を受け、イギリス海軍は保有艦艇の整理を行い、レパルスを含む3隻の巡洋戦艦で巡洋戦艦戦隊を編成しました。

この時代、レパルスは世界一周航海の護衛任務や、英国皇太子の御召艦としての任務も経験しています。1930年代には二度目の近代化改装を受けましたが、姉妹艦レナウンのような大規模な改装ではなく、小規模な更新に留まりました。レナウンとレパルスは、改装の多さからそれぞれ「リフィット」「リペア」というニックネームで呼ばれていました。

1939年にはイギリス国王ジョージ6世とエリザベス妃のカナダ訪問に際し、御召艦として予定されました。しかし、最終的には客船エンプレス・オブ・オーストラリアが選ばれ、レパルスは護衛艦として3日間同行しました。

第二次世界大戦

第二次世界大戦勃発後は、ドイツ海軍の通商破壊作戦に対抗するため、大西洋での通商破壊艦狩りや、南大西洋での装甲艦アドミラル・グラーフ・シュペー対策などに従事しました。ノルウェー戦役では、機雷敷設部隊の援護や撤退部隊の護衛任務につきました。また、ポケット戦艦アドミラル・シェーアの追跡にも参加しましたが、捕捉には至りませんでした。

1941年5月には、戦艦ビスマルク追跡作戦に参加。しかし、燃料不足により作戦から離脱しました。その後、極東への派遣が決定され、シンガポールに配備されました。

マレー沖海戦とレパルスの最期

1941年12月8日、太平洋戦争が勃発。レパルスは戦艦プリンス・オブ・ウェールズと共にZ部隊を編成し、マレー半島への日本軍侵攻部隊を攻撃しました。しかし、日本海軍の陸上攻撃機による激しい空襲を受けました。レパルスは、複数の魚雷と爆弾の直撃を受け、わずか数十分で沈没しました。この時の艦長テナント大佐を含む多くの乗員が救助されましたが、多数の犠牲者も出ました。

レパルスとプリンス・オブ・ウェールズの沈没は、空母や陸上基地を拠点とする航空機による攻撃の有効性を示す結果となり、世界の海軍戦略に大きな影響を与えました。

レパルスの現在

レパルスは浅い水深に沈んでいるため、その残骸は比較的容易に到達できます。日本海軍はサルベージを試みましたが、成功しませんでした。近年では、違法サルベージ業者による破壊行為も発生しています。レパルスの沈没は、歴史的な出来事として、そして海軍史における重要な教訓として、今も人々の記憶に刻まれています。

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