レパ・ブレナ

レパ・ブレナ：ユーゴスラビアを代表する歌姫

レパ・ブレナ（Lepa Brena、1960年10月20日 - ）は、ボスニア・ヘルツェゴビナのブルチコ出身の歌手であり、現在ではレコード会社のオーナーとしても知られています。本名ファフレタ・ジヴォイノヴィッチ。彼女は、旧ユーゴスラビア時代から現在に至るまで、バルカン半島を中心に絶大な人気を誇る歌手の一人です。

ユーゴスラビアでの成功

1982年、21歳の時にバンド「Slatki greh」と共に発表した楽曲「Čačak, Čačak」や「Ljubi me, Omere」がユーゴスラビアで大ヒット。1984年にはユーロビジョン・ソング・コンテストのユーゴスラビア国内選考に参加しますが、惜しくも敗れます。しかし、同年リリースのアルバム『Bato, Bato』は、タイトル曲をはじめとする多くの楽曲がヒットし、彼女の人気を不動のものとしました。

また、レパ・ブレナはユーゴスラビアの統一維持を公然と支持したため、一部から批判を受けることもありました。1984年のサラエボオリンピック開会式では歌唱を披露し、その後も立て続けにアルバムをリリース。ミロスラフ・イリッチとの共演も話題を呼びました。1980年代後半には、ユーゴスラビアで最も有名な歌手の一人として、またセックスシンボルとしても認識されるようになりました。

ユーゴスラビア内戦とその後

1990年には、ユーゴスラビア各地の歌手と共演した楽曲「Jugoslovenka」を発表し、論争を巻き起こします。1991年には内戦を逃れ、夫でテニス選手のスロボダン・ジヴォイノヴィッチと共にアメリカへ移住。1994年に帰国し、3年ぶりとなるアルバム『Ja nemam drugi dom』をリリースし、大ヒットを記録しました。このアルバムはソロとして初のアルバムであり、「Ja nemam drugi dom（他に帰る場所は無い）」は今日まで記憶される歴史的なヒット曲となりました。

2000年にはバンド「Slatki greh」を再結成。2006年には新アルバムのリリースが予定されていましたが延期され、その理由について彼女は「私は美しい統一ユーゴスラビアのために歌っていた。今の私には新しいアルバムを作るのは本当にしんどい」と語っています。

現在

現在はセルビアのベオグラードに、夫と2人の息子と共に在住。モンテカルロとフロリダにも別荘を所有しています。ベオグラードのTRG Squareでは、セルビアの大スターであるツェツァと並んで歌い、コソヴォ紛争でのセルビアの立場への支持を表明しました。2004年にはボスニア・ヘルツェゴビナのトゥズラや、故郷であるブルチコでコンサートを開催。「Ja nemam drugi dom」を歌う際には、感極まって涙を流す場面もありました。

ディスコグラフィ

Čačak, Čačak (1982年)
Mile voli disko (1982年)
Bato, Bato (1984年)
Pile moje (1984年)
Voli me, voli (1986年)
Uske pantalone (1986年)
Hajde da se volimo (1987年)
Četiri godine (1989年)
Boli me uvo za sve (1990年)
Zaljubiška (1991年)
Ja nemam drugi dom (1993年)
Kazna Božija (1994年)
Luda za tobom (1996年)
Pomračenje sunca (2000年)
Uđi slobodno... (2008年)
Začarani krug (2011年)
Izvorne i novokomponovane narodne pesme (2013年)
Zar je važno dal se peva ili pjeva (2018年)

フィルモグラフィ

Tesna koža (1982年)
Nema problema (1984年)
Kamiondžije ponovo voze (1984年)
Hajde da se volimo (1987年)
Hajde da se volimo 2 (1989年)
Hajde da se volimo 3 (1990年)
* Lepa Brena: Godine Slatkog greha (2017年) - ドキュメンタリー

レパ・ブレナは、その歌声とカリスマ性で、ユーゴスラビアの音楽史に大きな足跡を残しました。彼女の音楽は、今もなお多くの人々に愛され続けています。

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