ブルチコ

ブルチコ：ボスニア・ヘルツェゴビナの要衝の地

ブルチコはボスニア・ヘルツェゴビナ北部に位置し、ブルチコ行政区の中心都市として機能しています。クロアチアとの国境をなすサヴァ川に面しており、地理的にも重要な場所に位置しています。

政治

ブルチコ行政区は、デイトン和平合意に基づき、スルプスカ共和国とボスニア・ヘルツェゴビナ連邦の境界を跨いで設立された特別な行政区です。この行政区の設立は、和平合意における両構成体の領域に関する主張の仲裁という目的を超えたものであり、和平合意の意図とは異なるという見方もあります。行政区の運営は、国際監視団の支援を受けており、その長はアメリカ合衆国出身のラッフィ・グレゴリアン氏が務めています。

歴史

1996年、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争中、ブルチコはスルプスカ共和国の2つの領域を結ぶ回廊として、戦略的に非常に重要な場所となりました。紛争終結後のデイトン合意に基づき、アメリカ合衆国主導の多国籍部隊によってブルチコ郊外にマクガヴァン基地が建設されました。この基地は、和平履行活動、特にブルチコ市街のセルビア人とゴルニィ・ラヒッチ地区のボシュニャク人との間の安定維持を目的としていました。紛争中、セルビア人とボシュニャク人の双方がこの地域の領有権を主張し、対立の大きな原因となりました。ブルチコ行政区は、北部ブルチコ市域を中心とするセルビア人地域と、南部ゴルニィ・ラヒッチ地区を中心とするボシュニャク人地域に分断され、現在もその影響が残っています。

紛争後、住民がかつての住居を修復しても、翌日には再び破壊されるという事態も発生し、地域社会の深い傷跡を物語っています。

人口

1991年の時点では、ボシュニャク人が人口の多数を占めていました。しかし、その後公式な統計調査は行われていません（2007年時点）。

スポーツと文化

ブルチコには、スルプスカ共和国プルヴァ・リーガに所属するサッカークラブ、FKイェディンストヴォ・ブルチコがあります。また、ブルチコはボスニア・ヘルツェゴビナ最大の港町であり、サヴァ川に港を有しています。演劇のフェスティバルが開催されるなど、文化的な側面も持ち合わせています。

交通

ブルチコ市街地近くには鉄道駅があり、トゥズラ方面へ毎日2往復の列車が運行されています。また、クロアチアのヴィンコヴツィへ向かう国際列車も1本運行されています。しかし、交通手段としては鉄道よりもバスや自動車が一般的です。

ブルチコ出身の著名人

レパ・ブレナ - バルカン半島で有名なポップ・フォーク歌手。
エド・マーイカ - ボスニアのラッパー。
* エドゥヴィン・カンカ・チュディッチ - ボスニアの人権擁護者。

ブルチコは、紛争の歴史を抱えながらも、多様な文化が共存する街として発展を続けています。ボスニア・ヘルツェゴビナの未来を担う都市の一つとして、その動向が注目されています。

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