トゥズラ

ボスニア・ヘルツェゴビナの都市、トゥズラ

トゥズラはボスニア・ヘルツェゴビナ北東部に位置する都市で、同国ではサラエヴォ、バニャ・ルカに次いで3番目に人口が多い都市です。トゥズラ県の県都でもあります。この都市の名前はトルコ語の「塩」を意味する「Tuz」に由来しており、その名の通り、地下には広大な塩の堆積が存在します。

地理

トゥズラは、北緯44度32分17秒、東経18度40分34秒に位置し、マイェヴィツァ山の麓、ヤラ川沿いに広がっています。市街は東西に広がる平野部に位置し、南北の丘陵地には住宅地が点在しています。また、トゥズラにはトゥズラ国際空港があり、市内とはトロリーバスで結ばれています。

歴史

トゥズラの歴史は古く、950年には「ソリ」という名前で記録されています。「ソリ」とは、ボスニア語、セルビア語、クロアチア語で「塩」を意味します。新石器時代にはすでに集落が存在していたと推定されており、6000年前から人が居住していたと考えられています。ソルニ・トゥルグ屋外博物館では、トゥズラにおける塩の生産の歴史を学ぶことができます。しかし、塩の採取は地盤沈下を引き起こし、特に20世紀にはその影響が顕著になりました。

第二次世界大戦中の1943年10月2日、トゥズラはパルチザンの抵抗によって解放され、最大の解放都市となりました。戦後、ユーゴスラビア社会主義体制下で工業都市として発展を遂げました。1990年の自由選挙では、非民族主義系の候補が勝利を収めました。しかし、1992年から1995年にかけてのボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の時代には、セルビア人民族主義者の武装勢力に包囲され、1995年5月25日にはセルビア人勢力による砲撃で多くの若者が犠牲となる「トゥズラの虐殺」が起こりました。

人口動態

ユーゴスラビア紛争中、多くのクロアチア人やセルビア人が国外へ脱出しましたが、町に残った人々は民族混成の防衛隊を組織し、町を守りました。紛争前の1991年の民族別人口構成は以下の通りです。

ボシュニャク人: 62,669人 (47.61%)
ユーゴスラビア人: 21,995人 (16.71%)
クロアチア人: 20,398人 (15.49%)
セルビア人: 20,271人 (15.40%)
その他・不明: 6,285人 (4.77%)

文化

トゥズラは、中央公園の一部に塩湖があるヨーロッパで唯一の都市です。作家のメシャ・セリモヴィッチの出身地であり、毎年7月には彼の名を冠したブック・フェスティバルが開催されています。

地域区画

トゥズラ市は39の地区に分かれており、中心となるトゥズラの町の他にも、ゴルニャ・トゥズラ、フシノ、パル・セロなど、いくつかの村が含まれています。

行政

市長はボスニア・ヘルツェゴビナ社会民主党に所属するヤスミン・イマモヴィッチ氏です。市議会は30議席で構成され、同じく社会民主党のナダ・ムラディナ氏が議長を務めています。

気候

トゥズラの気候は中央ヨーロッパに典型的なもので、年平均気温は10℃、年間平均降水量は895mmです。

スポーツ

トゥズラの主要なスポーツチームは「スロボダ」という名前で知られており、これは「自由」を意味します。サッカーのFKスロボダ・トゥズラ、バスケットボールのKKスロボダ・ディタなどが代表的です。また、女子バスケットボールのKKイェディンストヴォ・アイダは、かつてヨーロッパのチャンピオンに輝いたこともあります。

その他

2007年には、トゥズラで6980組のカップルが同時にキスをするというギネス世界記録が達成されました。

姉妹都市

イタリア: ボローニャ
クロアチア: オシエク
ハンガリー: ペーチ
* スペイン: ルスピタレート・ダ・リュブラガート

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