レプチン

レプチン (Leptin)

レプチンは16kDaのペプチド[[ホルモン]]で、主に脂肪細胞によって生成されます。このホルモンは、食欲を抑える信号として機能し、エネルギー消費を促進するため、体重管理や肥満抑制に重要な役割を果たしています。レプチンという名前は、ギリシャ語で「痩せる」を意味する「λεπτός (leptos)」に由来しています。

発見と遺伝子

レプチンは1994年にマウスを用いた研究で初めて発見されました。ヒトにおいては、7番染色体上に配置されたOb(Lep)遺伝子によって産生されます。このホルモンは、LepRa、LepRb、LepRc、LepRd、LepRe、LepRfの6種類の受容体と結合し、特にLepRb受容体が重要な役割を持っています。これらの受容体は視床下部に多数存在し、ここでレプチンの作用を発揮します。

肥満との関係

レプチンは、ジャクソン研究所のマウスの研究で肥満マウスからクローン化されました。肥満マウスは食欲が異常に旺盛で、特にレプチンの機能に異常が見られます。変異したレプチン遺伝子を持つ人間も存在し、主に近親交配に起因しています。そういった人々は、調整機能が抑制され、食事を続けることで体重が急激に増加する傾向があります。

作用メカニズム

レプチンは体全体の脂肪細胞で産生され、体内の脂肪量を脳に伝達しています。これにより、食欲とエネルギー代謝が調整されます。レプチンは、神経ペプチドY (NPY) およびアグーチ関連ペプチド (AgRP) の働きを抑制し、アルファ・メラノコルチン刺激ホルモン (α-MSH) の活性を高めます。これにより、食欲が抑制され、エネルギー消費が増加する効果が生まれます。

レプチンの過剰分泌がもたらす影響として、交感神経系の活性化および血圧の上昇が確認されています。特に、過剰なレプチンがストレスホルモンであるノルアドレナリンやアドレナリンの増加を引き起こし、血管を収縮させることで血圧を上昇させる原因となることがあります。

肥満信号としてのレプチン

これまでの研究において、レプチンはインスリンと並ぶ重要な肥満信号として位置づけられています。レプチンは体脂肪と比例した濃度で循環し、血液脳関門を通過して中枢神経系に影響を与えます。この過程の詳細はまだ完全には解明されていませんが、レプチンは内皮細胞を介して血液脳関門を超えることが示唆されています。

中枢神経系の役割

レプチンは視床下部において、NPYとAgRPの分泌を抑制します。これにより、食欲が控えられ、エネルギー消費が促進されます。AgRPは特に持続的な影響を持ち、エネルギー摂取を長期にわたって増加させることが分かっています。

また、レプチンはプロオピオメラノコルチン (POMC) 前駆体を活性化し、α-MSHの生成を促すことが知られています。これにより、食欲が抑制され、体重を管理するメカニズムが働きます。最終的に、レプチンは中枢自律神経を介して肝臓や胃に信号を送り、体重に影響を与えます。

その他の影響と役割

レプチンには他にもさまざまな細胞内シグナル経路が活性化されますが、その詳細はまだ解明される余地があります。特に雌雄両方の生殖において、その活性が求められることが知られています。さらに、レプチンは適切な体重に達したことによる女性の思春期の開始にも寄与していると考えられています。

レプチンの研究は、肥満や代謝障害の理解に寄与し続けており、今後の研究の進展が期待されます。

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