レ・ドゥク・ト

レ・ドゥク・トの生涯と業績

レ・ドゥク・ト（黎 徳寿、Lê Đức Thọ）は、1911年10月14日にベトナムの北部ナムディン省で生まれました。彼はベトナムの革命家であり政治家として知られ、特にパリ和平協定の交渉者としてその名を馳せました。彼の生まれた時の名前はファン・ディン・カイ（Phan Đình Khải）です。

早年の活動

1929年、レ・ドゥク・トは「インドシナ共産党」に参加しました。この党は1930年に成立し、彼の政治活動の基盤となりました。しかし、彼の活動はフランス当局によって妨げられ、1930年から1936年、そして1939年から1944年の間に2回、投獄されました。釈放された後も、彼は北部ベトナムでの政治活動を続けました。

1945年にはインドシナ共産党中央委員に選任され、第一次インドシナ戦争中には、レ・ズアンの下で南部中央局の副書記として活動しました。1954年にはジュネーヴ協定の結果、北部に戻り、1955年8月にベトナム労働党の政治局員に選出されます。これにより、彼は党内の重要な地位を占めることになりました。

党内での影響力

1956年末、レ・ドゥク・トは党中央組織委員会の委員長に就任し、その後、党内人事を掌握するようになります。彼の影響力は特にイデオロギー部門で強まったとされ、レ・ズアンが第一書記としての地位を確立する一因とも言われています。1960年の第3回党大会で再び政治局員に選出され、党内での地位を更に向上させました。それに続いて、1970年代の南部派遣やパリ和平協定交渉に尽力しました。

パリ和平協定

ベトナム戦争が続く中、アメリカは1960年代初頭から積極的に関与します。1968年から1973年の間にフランスのパリで和平会議が開かれ、レ・ドゥク・トはその交渉に参画しました。特に、国家安全保障問題担当大統領補佐官のヘンリー・キッシンジャーとの秘密会談が行われ、最終的には1973年1月27日にパリ協定が締結されることとなります。

この協定では、戦争捕虜の解放や停戦監視機関の設置、南ベトナムでの民主的選挙の実施、米国の南ベトナム支援の継続、北ベトナム軍の駐留などが取り決められました。しかし、協定が結ばれてからも戦闘は続き、和平合意の履行に向けた努力が続きました。

ノーベル平和賞の辞退

レ・ドゥク・トは1973年のノーベル平和賞を受賞することとなりましたが、彼はこの賞を辞退しました。彼の理由は、「ベトナムに平和が訪れていない」というもので、彼が辞退したことで彼は、この賞を受け取った唯一の人物となりました。ジャン＝ポール・サルトルに次いで、ノーベル賞を辞退した2人目の人物としても知られています。

結び

レ・ドゥク・トの生涯は、ベトナムの歴史において重要な役割を果たしました。彼の行動は国内外に影響を及ぼし、彼の考えや信念は多くの人に感銘を与えました。彼の政治的足跡や業績は、今もなお多くの人々に語り継がれています。

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