レーモン・ベランジェ2世 (プロヴァンス伯)

レーモン・ベランジェ2世の生涯と治世

レーモン・ベランジェ2世（Raimond Bérenger II、1135年 - 1166年）は、プロヴァンス伯として1144年から1166年まで在位した人物です。彼は、バルセロナ家に属し、カタルーニャ語ではバランゲー・ラモン3世（Berenguer Ramon III）としても知られています。彼の出自は、母方と父方の両方に名門の血を引くことが特徴です。父はプロヴァンス伯ベランジェ・レーモン1世、母はメルグイユ女伯ベアトリスです。祖父にあたるのはバルセロナ伯ラモン・バランゲー3世、とプロヴァンス女伯ドゥース1世です。

1144年、貴族の運命は激変しました。父がジェノヴァとの戦いで戦死したため、わずか9歳でレーモン・ベランジェはプロヴァンス伯位を継承しました。しかし、治世開始早々から彼の統治は危機に直面しました。ボー家との領土争いが繰り広げられ、政治的な不安定さが続きました。この混乱の中、伯父であるラモン・バランゲー4世がレーモン・ベランジェ2世を再びプロヴァンス伯に立たせる形で復位させました。

その後もボー家との争いは続き、1162年まで続くことになります。しかし、最終的にはボー家が降伏し、プロヴァンス伯としての地位が強化されました。特に同年の8月には、神聖ローマ皇帝フリードリヒ1世からプロヴァンスの支配を承認されるため、伯父と共にトリノに赴きました。しかし、帰路で伯父が亡くなり、アルフォンソ2世にレーモンの後見が委譲されることとなりました。

政権が安定する中、レーモン・ベランジェは和平交渉を結び、ジェノヴァとの関係も改善しました。残念なことに、彼は1166年の春にニースを獲得しようとしていた矢先にこの世を去ります。彼の死後、プロヴァンス伯領はアラゴン王アルフォンソ2世に引き継がれました。

結婚と子女

1161年の11月17日、レーモン・ベランジェ2世はポーランド大公ヴワディスワフ2世ヴィグナニェツとアグネス・フォン・バーベンベルクの娘、リクサ・シロンスカと結婚します。この縁を通じて、彼らには一人の娘が誕生しました。この娘は、後にプロヴァンス女伯として1166年から1167年にかけて在位しましたが、彼女の名前は「ドゥース2世」とされています。

レーモン・ベランジェ2世の治世は、外部との戦争や内部の権力争いが絡み合った複雑なものでした。そのため、彼の統治期間は一貫した安定感に欠けていましたが、彼の死後はアラゴンの強力な統治者の下でプロヴァンスの地域が新たな局面を迎えることとなります。

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