バルセロナ家

バルセロナ家の歴史

バルセロナ家（カタルーニャ語: Casal de Barcelona、イタリア語: Casa di Barcellona、カスティーリャ語: Casa de Barcelona）は、アラゴン王国及びカタルーニャの君主として中世に勢力を誇った家系です。彼らはアラゴン家とも言われ、その名は後にトラスタマラ家やナポリ王国の王家にも使われることになります。この家系の影響は、現在のスペイン東部、フランス南部、さらにはイタリア南部にまで及びました。

ルーツと成立

バルセロナ家の起源は、9世紀末のギフレ1世多毛伯にさかのぼります。この時期、バルセロナ伯を世襲する形でスニフレ家が成立し、彼らは周囲の伯領を併合してカタルーニャ君主国を築き上げました。このようにして、バルセロナ家は次第にその領土を広げていったのです。

アラゴン王家としての歴史は、1075年頃にアラゴン王ラミーロ2世が自らの一人娘ペトロニラ女王の夫として、バルセロナ伯ラモン・バランゲー4世を迎えたことに始まります。彼自身は王位を名乗ることはありませんでしたが、彼の子息たちはアラゴン王とバルセロナ伯の二つの称号を持つようになり、アラゴン＝カタルーニャ連合王国が成立しました。

膨張と征服

バルセロナ家の中で著名な人物として知られるのは、ハイメ1世です。彼は「征服王」と称され、母親から引き継いだモンペリエを中心に、バレアレス諸島やバレンシアを征服しました。彼の死後、その領土は子息のペドロ3世に引き継がれ、さらなる拡大を遂げました。

ペドロ3世はシチリア王国の内乱にも介入し、シチリア島を獲得して王位に就きました。シチリア王位はその後、兄弟たちの間で分割され、それぞれがアラゴンとシチリアの王位を継承しました。特にフェデリーコ2世やハイメ2世はその後のアラゴン家の存続に大きな役割を果たしました。

衰退と終焉

しかし、時が経つにつれ、バルセロナ家は存続に困難をきたすようになります。シチリア王家は男系が途絶え、マルティーノ1世が無嗣にて死亡したことにより、バルセロナ家は断絶を迎えます。結果として、1412年にはトラスタマラ家のフェルナンド1世がこれらの土地を受け継ぎ、バルセロナ家の支配は歴史に幕を閉じることになりました。

影響と遺産

バルセロナ家の歴史は、単なる王朝の興亡だけでなく、地中海地域の政治や文化にも大きな影響を及ぼしました。彼らが築いたアラゴン＝カタルーニャ連合王国は、その後のスペインの形に変容していく過程で重要な役割を果たしました。バルセロナ家の興隆と衰退を通じて、当時の南ヨーロッパの王権や領域の変遷が理解されることでしょう。

参考文献

• - 田澤 耕 『物語 カタルーニャの歴史』 中央公論新社、2000年。
• - 尾崎 明夫、ビセント・バイダル 解説 『征服王ジャウメ一世勲功録 レコンキスタ軍記を読む』 京都大学学術出版会、2010年。
• - 下津清太郎 編 『世界帝王系図集 増補版』 近藤出版社、1982年。

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