レーモン・ベランジェ3世 (プロヴァンス伯)

レーモン・ベランジェ3世の生涯

レーモン・ベランジェ3世（Raimond Bérenger III）は、1158年ごろに生まれ、1181年4月5日に亡くなったフランスの貴族であり、プロヴァンス伯（在位1173年 - 1181年）です。彼は、バルセロナ伯ラモン・バランゲー4世とアラゴン女王ペトロニラの次男として知られています。彼は生まれてから1173年まで「ペドロ・デ・アラゴン」（Pedro de Aragón）という名で呼ばれていましたが、その後レーモン・ベランジェの名に改名されました。同年、彼は兄アラゴン王アルフォンソ2世が後嗣を残さずに亡くなった場合、アラゴン王位を継承することが決まっていました。

幼少期と家庭の状況

1162年、彼の父ラモン・バランゲー4世は死の床での遺言を通じて、息子レーモン・ベランジェにサルダーニャ伯領、カルカソンヌ領、そしてナルボンヌに対して権利を相続させる意向を示しましたが、若き日の彼はこれらの地域を直接統治することはありませんでした。1168年には、アラゴン王アルフォンソ2世が幼少のために摂政が設けられていましたが、同年にはプロヴァンス伯レーモン・ベランジェ2世が亡くなり、サルダーニャ伯領の統治を弟のサンチョが引き受けました。レーモン・ベランジェは1162年から1168年までの間に散発的にサルダーニャ伯ペドロ1世と呼ばれていますが、この時期の彼はわずか4歳から8歳でした。

政治的背景と活動

1166年以降、アルフォンソ2世の摂政たちは周辺地域との外交関係を築きながら、トゥールーズ伯との戦いに注力しました。この戦争の結果、アルフォンソ2世はミジャレス、ロデス、さらには他の地域の領主たちに上級領主としての認識を与えました。この時期、ニーム子爵ベルナルド・デ・アトンやベジエ子爵・カルカソンヌ子爵ライムンド1世・トランカヴェルもまた、アルフォンソ2世によって一定の権利を与えられました。

1173年、ついに兄のアルフォンソ2世が成年に達し、サンチャ・デ・カスティーリャと結婚しました。この年、ペドロは正式にプロヴァンス伯として任命され、レーモン・ベランジェの名でプロヴァンスを治めることになりました。1176年には、彼は弟のサンチョと共にニースへの遠征に参加します。このように、レーモン・ベランジェは兄の権力の下で一定の指導力を発揮しました。

最期とその後

しかし、彼の生涯は短いものでした。1181年、レーモン・ベランジェはアラゴン王国のトゥールーズ伯との戦いの最中、アデマール・ド・ミュルヴィエルの部隊に襲撃され命を落とします。その死後、兄アルフォンソ2世は弟のサルダーニャ伯サンチョにプロヴァンス伯領を引き継がせました。彼の死は、アラゴンとプロヴァンスの政治情勢に少なからず影響を与え、当時の貴族たちとの盟友関係が変化する契機ともなったでしょう。

参考文献

• - Balaguer, Víctor (1861). Historia de Cataluña y de la Corona de Aragon.
• - Bofarull y Mascaré, Próspero de (1836). Los Condes de Barcelona vindicados.
• - Moreri, Louis (1753). El gran diccionario histórico, o Miscellanea curiosa de la Historia Sagrada y profana.
• - Ubieto Arteta, Antonio (1987). “El condado de Provenza”. Creación y desarrollo de la Corona de Aragón.

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