ロイヤルナイツ (デジタルモンスター)

ロイヤルナイツとは

デジタルワールドに存在する多くのデジモンたちの中で、特定の「聖騎士型デジモン」に与えられる特別な称号、それが「ロイヤルナイツ」です。

概要と誕生

『デジタルモンスター』シリーズの世界観において、デジタルワールドはネットワーク上に構築された仮想空間であり、そこに生息するデジモンたちは、現実世界や神話・伝説上のモチーフを取り入れた様々なグループを形成しています。ロイヤルナイツもそうしたグループの一つで、その名は現実世界における円卓の騎士をモデルにしているとされています。ただし、個々のメンバーが円卓の騎士の特定の人物像に対応しているわけではありません。

ロイヤルナイツという概念がシリーズに登場したのは、2001年発売の携帯ゲーム機『ディーアーク』で聖騎士型デジモンであるデュークモンが登場した際の公式設定に遡ります。この設定の中で、先行して登場していた聖騎士型デジモンのオメガモンやマグナモンを含めた存在として言及されました。その後、テレビアニメ『デジモンテイマーズ』でのデュークモンの活躍などを経て、デュナスモン、ロードナイトモン、アルフォースブイドラモン、アルファモンといった新たなメンバーが徐々に明かされていきます。そして、2014年に13体目のメンバーとしてジエスモンが発表されたことで、現在確認されているロイヤルナイツの全メンバーが出揃いました。アニメシリーズとは別に展開された携帯ゲーム機『デジモンペンデュラムX』のバックグラウンドストーリー『デジモンクロニクル』や『デジモンアクセル』といった商品群では、彼らの存在が物語の重要な要素として頻繁に描かれています。また、シリーズに深く関わったイラストレーターであるAs'まりあ氏は、オメガモンとデュークモンを「ロイヤルナイツの両翼」と表現しています。

基本的な性質

バンダイの公式設定によれば、ロイヤルナイツに共通する最大の特徴は、タイプが「聖騎士型」であることです。レベルにおいては、アーマー体のマグナモンを除く全てのメンバーがデジモンの最高レベルである「究極体」に位置づけられています。マグナモン自身もアーマー体でありながら究極体以上の能力を持つとされます。アルフォースブイドラモンの設定によれば、ロイヤルナイツはデジタルワールドの古い予言にのみ登場するとされる伝説的な存在であり、世界に危機が訪れた際にその予言に導かれて集結するとされています。

しかし、彼らは絶対的な「善」を体現する存在ではありません。各々が信じる「正義」に絶対の忠誠を誓うため、その正義が他者から「悪」と見なされる行為につながることもあります。例えば、弱者に対して無慈悲なロードナイトモンや、自らの信条のために冷酷な一面を見せるデュナスモンもロイヤルナイツの一員です。彼らはデジタルワールドの秩序維持のために必要と判断すれば、時には大規模な破壊や殺戮といった非情な手段を行使することも辞しません。また、各メンバーの思想には微妙な違いがあり、それが原因で内部対立や衝突が起こることもあります。

普段から組織として活動しているわけではありませんが、その存在感はデジタルワールドにおいて非常に大きいものです。中には聖騎士型ではないデジモン（キングエテモンなど）がロイヤルナイツを自称することもあるほど、彼らのネームバリューは絶大です。

現在のところ、ロイヤルナイツとして公式に確認されているのは13体です。属性の内訳を見ると、ワクチン種とデータ種がそれぞれ5体ずつ、ウィルス種が2体（デュークモン、ロードナイトモン）、そして属性フリーのマグナモンが含まれています。基本的には人型の形態をとりますが、スレイプモンやエグザモンのように例外も存在します。13体目のメンバーであるジエスモンが登場するまでは、長らくその席が空白であったと語られています。

各作品での描かれ方

ロイヤルナイツのメンバーは、登場する作品によってその役割や設定が大きく異なることがあります。必ずしも「ロイヤルナイツ」として登場するわけではなく、「正義の味方」として描かれることもあれば、物語の敵として立ちはだかることも少なくありません。特に「ロイヤルナイツ」として集結して登場する場合、主人公たちの前に敵として現れるケースが多い傾向にあります。

例えば、テレビアニメ『デジモンフロンティア』（2003年）では、ロードナイトモンとデュナスモンが悪役として登場し、デジタルワールドそのものの破滅を目論む絶対的な存在として描かれました。本来は世界を守護するはずのロイヤルナイツがなぜこのような行動をとったのかは、劇中では明確にされませんでした。『デジモンクロニクル』（2003年）およびそれを基にしたテレビスペシャル『デジタルモンスター ゼヴォリューション』（2005年）では、オメガモン、デュークモン、アルファモンらが、デジタルワールドを管理するコンピュータ・イグドラシルの命令に従い、異分子とみなされたX抗体デジモンたちの排除に動きます。この際も、オメガモンは命令に忠実でしたが、デュークモンはXデジモンたちを試すような行動をとるなど、メンバー間の思想の違いが描かれています。テレビアニメ『デジモンセイバーズ』（2007年）では、イグドラシルに仕える守護者として登場し、人間界の消滅を目指すイグドラシルの命令を受けて主人公たちと敵対します。多くのメンバーが登場しますが、物語終盤からの登場であり、個々の掘り下げは限定的でした。しかし、一部のメンバーは後にイグドラシルに反旗を翻し、主人公たちに協力するなど、彼らの正義が単一ではないことを示しています。

一方で、漫画『デジモンクロスウォーズ』では、ロイヤルナイツの多くが主人公側の完全な味方として描かれており、これは2022年時点では唯一の例です。ゲーム『デジモンストーリー サイバースルゥース』（2015年）では、全13体が登場し、世界を脅かす存在を巡って、人間界を守ろうとする派閥と人間界を滅ぼそうとする派閥に分かれて対立するなど、彼らの内面や関係性が深く掘り下げられました。

このように、ロイヤルナイツはシリーズを通じて、デジタルワールドの秩序を担う重要な存在として、また、作品ごとに異なる複雑な背景を持つキャラクターとして描かれ、物語に多様な深みを与えています。彼らの存在は、デジモンシリーズの世界観を語る上で欠かせない要素の一つと言えるでしょう。

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