ロサンゼルス国際空港地上衝突事故

1991年 2月1日、アメリカ・ロサンゼルス国際空港（LAX）で発生した航空事故。USエアー1493便（ボーイング737-3B7）が着陸進入中、滑走路上にいたスカイウェスト航空5569便（フェアチャイルド・スウェアリンジェンメトロライナー）と衝突し、旧消防署庁舎に激突炎上しました。

事故の概要

USエアー1493便は、乗員乗客89名を乗せ、ワシントン・ナショナル空港を経由してLAXへ向かっていました。機長は48歳、副操縦士は32歳のベテランでした。一方、スカイウェスト航空5569便は、パームデールへ向かうため、滑走路24Lへ向けてタキシング中でした。機長32歳、副操縦士45歳という構成でした。

当時、LAXの管制塔は、ウィングス・ウェスト5072便の運航票が届いていないなど、複数の事象が重なり混乱していました。着陸進入を担当していた管制官は、滑走路に他機がいないと誤認し、USエアー1493便に着陸許可を出しました。しかし、実際にはスカイウェスト航空5569便が滑走路上にいたのです。

午後6時3分頃、USエアー1493便は着陸直前に滑走路上にいたスカイウェスト航空5569便に衝突。5569便は押しつぶされ、2機は滑走路を逸脱し、旧消防庁舎に激突して炎上しました。5569便は小型だったため、当初は事故に巻き込まれたことに気づかれませんでしたが、残骸からプロペラが発見されたことで判明しました。

被害状況

この事故で、スカイウェスト航空5569便の乗員乗客12人全員と、USエアー1493便の乗員乗客22人が死亡しました。USエアー1493便の乗客は、衝突当初は生存者もいましたが、火災と有毒ガスにより多くの命が奪われました。

火災の発生

激しい火災は、スカイウェスト航空5569便の燃料と、USエアー1493便の酸素供給システムから発生した酸素が反応して発生しました。衝突の衝撃で非常口が変形し、使える脱出口が限られたことも被害を拡大させる要因となりました。脱出に成功した乗客の中にも、重度の火傷を負った方がいました。

死者の状況

スカイウェスト航空5569便の乗員乗客は、衝突の瞬間に即死しました。USエアー1493便の乗員乗客は、消防庁舎に激突した時点では生存者もいましたが、有毒ガスの吸引が原因で死亡した方が多くいました。機長は激突時に頭部を強打して死亡、副操縦士は重傷を負いながらも救助されました。

事故原因

事故の主原因は管制ミスです。管制塔は、スカイウェスト航空5569便に滑走路での待機を指示していましたが、別のウィングス・ウェスト機の交信トラブルへの対応に追われ、混乱状態に陥っていました。さらに、ウィングス・ウェスト5072便の位置を誤認し、滑走路に航空機はいないと判断しました。これは、5072便の運航票が管制官の手元に届いていなかったこと、そして、事故当時の地上レーダーシステムが機能していなかったことも影響しています。

着陸進入を担当した管制官は、NTSBの調査に対し、事故の責任を受け入れ、その後管制官の職を辞しました。

その他の要因

事故当日は日没後で、滑走路の照明が眩しく、機体の視認性が悪かったことも要因の一つです。また、USエアー1493便から見ると、滑走路の照明とスカイウェスト航空5569便の灯火が重なり、視認を困難にしました。

安全対策の遅れ

事故当時、連邦航空局（FAA）は機体の難燃性基準を引き上げることを決定していましたが、USエアーの機体は旧基準のまま使用されていました。USエアーは事故機の改修を翌年に予定していました。

メディアでの映像化

この事故は、テレビ番組「メーデー!:航空機事故の真実と真相」や、「世界衝撃映像100連発」などでも取り上げられ、教訓として語り継がれています。

外部リンク

事故詳細 - Aviation Safety Network
NTSB accident investigation report (6 MB)

この事故は、管制ミスがいかに重大な結果を招くかを示すとともに、航空安全対策の重要性を改めて浮き彫りにしました。

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